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敗血症性ショック!症状や原因、治療法などご紹介!

      2016/04/09

敗血症性ショックという病名をご存じでしょうか?

アメリカでは、毎年約90,000人もの方が敗血症性ショックで死亡しているといわれています。

この敗血症性ショックとは、どんな病気なのでしょう。

今回は、敗血症性ショックの症状や原因、治療について、ご紹介します。

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敗血症、敗血症性ショックとは

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まずは敗血症という病気がどんな病気なのかを確認しましょう。

 

敗血症は、病原菌が血液中に侵入して全身に広がって起こる、全身症状の感染症です。

よって、敗血症は、全身性炎症反応症候群とも呼ばれています。

 

 

敗血症の中でも特に重症のものを敗血症性ショックと呼び、血圧が危機的に低下し、血流量が不足して多臓器不全に陥る状態をいいます。

敗血症性ショックを起こした場合、約30%ほどの人が死亡しています。

生存率は、感染源や影響を受けている臓器、症状が出た後どのくらい迅速に治療を行ったかによって違ってきます。

 

敗血症にかかる原因

敗血症につながる感染症は主に、

・腎盂腎炎などの尿路感染症

・肺炎などの呼吸器感染症

・腹膜炎、胆管炎

などがあります。

また、静脈や尿道にカテーテルを入れていたり、気管内チューブを使用しているなど、医療器具を体内に挿入している場所の汚染から、体内に病原菌が侵入してしまうカテーテル関連敗血症も増加しています。

 

敗血症のほとんどが、上記のような細菌の感染を原因としていますが、まれにカンジダなどの真菌が原因となることもあります。

他にも、風邪虫歯といった身近な病気からも敗血症になる事があります。

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敗血症にかかるリスクが高い人

腎盂腎炎や肺炎にかかったからといって、すぐ敗血症になることはありません。

では、どういったときに敗血症にかかるリスクが高くなるのでしょう。

 

・元々体力が低下していた

・悪性腫瘍、糖尿病、腎疾患などの基礎疾患がある

・抗がん剤や放射線治療を受けて、白血球が減っている

・未熟児、高齢者、妊娠中の女性

・手術後

 

など、免疫力が低下している場合、敗血症にかかりやすくなってしまいます。

 

敗血症の診断

体温の上昇や心拍数・呼吸数の増加など、見た目の症状に加え、血液検査によって、血液中の細菌や老廃物を確認したり、感染源を特定するために尿検査や脳脊髄検査を行うことがあります。

 

また、指にセンサーをつけ、酸素濃度を測定し、肺や血管がどの程度機能しているか調べます。

そのほか、レントゲンやCTスキャン、MRI、エコーなどで臓器の状態を確認します。

 

ガイドラインにおいて、敗血症の診断基準は以下の通りです。

1.体温が38℃より上、または36℃未満

2.心拍数が1分間に90回より上

3.呼吸数が1分間に20回より上、またはPaCO2が32Torr以下。

4.白血球数が12,000/μL以上、または4,000/μL以下。あるいは未熟顆粒球が10%以上

 

敗血症と敗血症性ショックの症状

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敗血症では、以下のような症状がみられます。

・ふるえを伴う悪寒と体温の上昇(重度の場合は逆に低体温になることもあります)

・心拍数や呼吸数の増加、

・白血球の異常な増加、または減少

 

集中的な治療をしたにもかかわらず血圧が低いままであると、『敗血症性ショック』と診断されます。

そして、敗血症性ショックを起こすと下記のような症状が現れます。

・血圧の低下

・意識障害

・体温の低下

・皮膚の変色

・尿が出ない

 

敗血症が重症化すると、内臓の機能不全が起こって、血圧が低下し、意識障害を起こしてショック状態になります。

内臓の機能不全が悪化すると、腎臓が尿をうまく排出できず、血中に老廃物といった毒素が蓄積します。

また、血管から体液が組織内に漏れ、むくみ(浮腫)が起こり、肺の血管からも体液が染み出して蓄積し、呼吸困難になります。

 

その後、体温が低下して呼吸困難になり、血流減少のため皮膚が冷たくなって斑点ができたり青くなったりします。

また、血流減少により臓器を含む組織が壊死していきます。

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敗血症性ショックに陥るメカニズム

敗血症性ショックに陥る流れとしては、

1.病原菌が作る毒素によって、体内の細胞が炎症を誘発する物質=サイトカインを放出

2.サイトカインには、血管を広げる作用があり、血管が拡張すると血圧が低下し、また、臓器内部の毛細血管の血液が凝固する

3.腎臓、心臓、脳といった生命維持にかかわる臓器への血流量が減少する

4.これを補うために心臓が活発になり、心拍数と血流量を増加させる

5.心臓に負荷がかかり、細菌の毒素の影響もあって心臓が弱る

6.心臓が弱ると血流量が減少し、さらに臓器への血流量も減少する

といった悪循環になり、内臓の機能不全、いわゆる多臓器障害症候群(MODS)を併発してしまいます。

 

敗血症性ショックの治療法

敗血症性ショックは治療は、早期の対応が重要です。

したがって、すぐに集中治療室(ICU)で治療を行う必要があります。

行われる治療は、

・抗生物質で細菌の繁殖を防ぐ

・脱水を防ぎ血圧を上げるため大量の静脈内輸液脱水を投与

・手術で壊死した所を切除する

・血圧を上げるため血管作動薬の投与

・大量の輸血

・酸素マスクによる酸素の補給

・呼吸を補助するために人工呼吸器を使用

といった事が主になります。

 

また敗血症性ショックは、症状が出てから6時間以内に治療を始めなければ、生存率が下がってしまいます。

ご家族に持病を患っている方や、術後間もない方がいる際は、注意して見ておくことが早期対応のカギとなります。

 

まとめ

いかがでしたか?

・敗血症性ショックは、さまざまな感染症が原因となる

・死亡率が高い(約30%)危険な病気である

・早期の対応が非常に重要である

ということが大切なポイントです。

敗血症の段階で、それ以上悪化させないように、早期に適切な治療を受けましょう。

 

敗血症性ショックが疑われる時は、救急車を呼びましょう。

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敗血症の症状からの治療法とショック時の生存率

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