右手がしびれる原因は?何指かによって考えられる病気は違う!?
右手が痺れると、利き手の場合、とても不便を感じる人が沢山いると考えられます。
人の約8割が右手を利き手とし、荷物を持つと言った粗大な動作や、針に糸を通すような繊細な動作まで、様々な動作に対応できるのが、手関節の特徴でもあります。
広義の意味で右手として捉えるのではなく、原因と対処法を探るためには、狭義での評価や治療が必要になってきます。
今回は、右手がしびれる原因と対処法についてご紹介させていただきます。
目次
右手のどこ?箇所により神経は異なる!
右手と一言で言っても、様々な筋肉と三本の神経で支配されています。
手関節は、複雑な動きにも対応できるため、痺れの部位と症状を細かく評価する必要があります。
具体的には、
・親指と人差し指を橈骨神経
・中指を正中神経
・薬指と小指を尺骨神経
がそれぞれ支配しています。
また、尺骨神経は比較的皮膚の浅層部分を走行しているため、外力に影響されやすい特徴を持っています。
さらに、尺骨神経は肘関節の外側の感覚も支配しています。
経験ある人がたくさんいると思いますが、よく、机の角や椅子にぶつけて痺れてしまうのは、尺骨神経が原因なのです。
さらに、正中神経では、中指が痺れるのと同時に、手首の方まで痺れの範囲は広がります。
橈骨神経も、手首が上げにくくなったり、ものがつかめなくなったりと、日常生活に影響が出てきてしまいます。
以上から、広義に右手なのではなく、詳細な箇所を特定するのも重要な対処法の一つでもあるのです。
中指と人差し指がしびれる、手根管症候群
中指と人差し指にしびれを感じる場合、まず手根管症候群が疑われます。
手根管とは、手首にある神経が通るトンネルのことです。
この手根管が狭くなり正中神経が圧迫されることで、手にしびれが生じます。
手根管症候群の場合、手全体ではなく、親指から薬指の親指側半分にかけて4本の指がしびれるのが特徴となります。
手根管症候群になる原因は未だはっきりとは解明されていませが、妊娠期や更年期の女性が多いとされています。
また、仕事やスポーツで手をよく使う人にも多いようです。
正中神経は、主に中指の感覚や指をそらせる方向に運動します。
また、手根管症候群になってくると、正中神経の通り道を広げるような外科的処置が必要になってきます。
さらに、特徴的な猿手という変形も見られてくるため、早い段階での診断と対処が必要になる神経です。
小指と薬指がしびれる、肘部管症候群
小指と薬指にしびれを感じる場合、肘部管症候群が疑われます。
肘部管とは、肘の内側にある神経が通るトンネルのことです。
肘部管が狭くなり神経が圧迫されることで、手にしびれが生じます。
肘部管症候群の場合は、小指と薬指が強くしびれ、肘を曲げていると症状が強くなるのが特徴です。
肘部管症候群になる原因としては、
・骨折などのケガや、加齢による肘の変形
・仕事や、野球などのスポーツによる肘の酷使
・ガングリオンなど、腫瘤による圧迫
・肘を曲げて寝たり、頬杖などの習慣
などが挙げられます。
尺骨神経は薬指と小指の感覚を司り、さらに鷲手変形へも影響します。
尺骨神経の走行から考えて見ると、前述のように、皮膚の浅層を通るため、外力の影響を受けやすく、損傷されやすい神経の一つです。
さらに、肘の外側の感覚へも影響を受けるため、小さなキズや内出血や打撲と言った日常的な怪我に気がつかない事も多々あります。
手首が上がらない、橈骨神経麻痺
・手首が上がらない、指が伸ばしづらい、親指と人差し指の間にある水かき部分にしびれを感じる
場合は橈骨神経麻痺が疑われます。
橈骨神経麻痺になる原因として多いのは、腕枕や飛行機や電車で無理な体勢で寝たことによる、外部的な神経の圧迫です。
また、ケガや骨折などの外傷が原因となることもあります。
橈骨神経は手首を持ち上げるような働きもあるため、橈骨神経が麻痺になった場合は最悪、手首にプロテクターや装具が必要になってきます。
親指と人差し指の感覚も司っているため、箸をもったり、何かつまんだり、巧緻性動作にとても影響されやすいとされてます。
腕のしびれ、胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群
鎖骨周辺にある、神経や血管の束が圧迫されて起こるのが胸郭出口症候群です。
高いところのものを取ろうとしたり、つり革をつかむ時のように、腕を上げる際しびれや痛みを感じるのが特徴です。
また、血管も圧迫されるため腕や手のしびれ以外にも、肩こり、手の血行不良による冷えやだるさ、といった症状が見られるもの特徴です。
胸郭出口症候群は、なで肩の女性や、上半身の筋肉を鍛えている男性に多いとされています。
また、重いものを持つ仕事の人や、パソコン作業の多い仕事の人もなりやすい傾向にあるようです。
右手がしびれるのは危険な病気の信号かも
右手がしびれる症状が現れるのは、危険な病気の前兆である場合が有ります。
手遅れにならないためにも、他の症状と照らし合わせて病気である可能性も疑ってみましょう。
脳の病気
まず、その注意すべき重篤な病気とは脳に関連した病気です。
考えられる具体的な脳の病気としては、
・クモ膜下出血
・脳腫瘍
・脳梗塞
・脳出血
等が挙げられます。
これらの病気は脳内血管の詰まりや破裂等が原因で有ったり、高コレステロール等によって脳内の血流が悪化してしまった状態で発症する病気です。
人の身体はこの脳からの命令信号が身体中に張り巡らされている神経を通じて身体の末端まで届けられる様になっています。
その命令信号を送り出す脳に先の様な病気や、病気の前兆が現れた場合に、命令信号の伝達に支障が生じ、身体の機能に障害として現れてきます。
脳内の病気の症状として現れるのが右手になっており、右手にしびれ等の違和感が現れた場合には、一度脳の病気を疑って見る必要が有ります。
他の症状として、
・激しい頭痛、嘔吐、意識障害、身体の片側の麻痺
などが見られたら要注意です。
些細なことでも、あれっおかしいな?と感じたら、すみやかに脳神経外科を受診することが大切です。
脊髄の病気
右手がしびれる次に重篤な病気として考えられるのが脊髄に関連した病気です。
主な病気としては、
・椎間板ヘルニア
・脊髄腫瘍
・事故や怪我等による脊髄損傷等
が考えられます。
人の身体の中心に有る脊髄は脳から出された信号を身体の各部位に伝達させる神経が集中して通っております。
その脊髄に何らかの障害や損傷が起こった場合、当然右手に届けられる神経にも影響が出てしまい、右手のしびれの症状となって現れてきます。
更に椎間板ヘルニア等の病気を持っている場合には、右手のしびれの症状以外に、腰や背中などの違和感や痛み等を伴う事が多く、右手のみならず足のしびれ等半身にもその症状が出てくる場合が有ります。
心臓の病気
右手がしびれる病気として脳や脊髄以外に考えられるのは、狭心症等の心臓疾患が原因となっている場合が有ります。
狭心症は高コレステロール状態で起こる動脈硬化等が原因となり血管内が狭くなってしまい、心臓の筋肉への血流が悪くなり胸の痛みや圧迫感を感じる病気です。
狭心症が原因の場合には、肩付近にしびれが現れる事が多いようです。
日常生活の中に原因が有るかも
右手がしびれる症状は、ご自身の日常の生活の中にもその原因が有るかもしれません。
肩こりや首のこり
その原因の一つが肩こりや首のこり等による場合です。
例えば、毎日の仕事の中で長時間に渡ってパソコンを使う仕事である場合や、勉強や家事等によって肩や首が凝ってしまうと、本人が気が付かない内に肩や首の筋肉が緊張した状態になってしまいます。
この状態になってしまうと頸椎に有る神経の通り道が狭くなってしまい神経を圧迫してしまいます。
特に右手に通じている神経を圧迫してしまう事で右手にしびれの症状が現れます。
右手を酷使した
又、右手を酷使した場合にもしびれを起こす場合が有ります。
右手を多く使い過ぎた場合には筋肉が凝り固まってしまい、その筋肉に近い部位の血管が圧迫され血流が悪くなってしまいます。
その結果、右手がしびれた様な感覚になってしまいます。
寝相
更に、神経を圧迫し続けた場合にもしびれは起こります。
例えば寝ている時に右手を枕代わりにしていた場合には、長時間左手の神経や筋肉、血管等が圧迫され続けます。
これらの症状は長時間正座していた場合に足がしびれるのと同じ原理である為、少し時間が経てば回復しますので心配は要りません。
ストレス
その他の日常の生活等で原因と考えられるのは、ストレスです。
仕事や育児や家事等で、知らずの内に受けているストレスによって、右手のしびれが起こる場合が有ります。
これは人の身体がストレスを受け続ける事によって、自律神経の乱れを起こす事に起因しております。
この自律神経は人の身体を正常な状態に保つ働きを持っておりますが、ストレス等によって自律神経が乱れてしまう事で体内の血流の悪化などを招いてしまいます。
その結果腕や手先等の身体の末端部分が血行障害を起こしてしまい、右手のしびれを招いてしまうのです。
対処法は重症度によって
右手を支配する神経に関してお話をしてきました。
右手一つとっても、三本もの神経が支配しており、それぞれ感覚や運動方向が違う事は、前述した通りです。
これら、神経の損傷に関しては、重症度別に分類し、対処を検討するのが一般的です。
主に神経損傷の重症度分類で使われる評価バッテリーは、重症度が三段階に分かれており、軽度・中等度・重度となります。
重度は神経が完全断裂されている状態で、切れた神経をつなぎ合わせる外科的処置が必要になってきます。
軽度や中等度では、必要によってギプスなどの固定をして安静を保ったりします。
いずれにせよ、神経損傷はレントゲンにはつい写らないため、医師による評価と経過観察が必要になります。
巧緻性は日常生活に不可欠
多くの人が利き手とする右手は、日常生活の様々な動作、すべての動作に参加していると言っても過言では無いと思います。
また、それだけ細かい動作に特化できるのも、3本の支配神経と筋肉の影響からきています。
食事やトイレ動作、整容動作や入浴動作。1日を考え見ると、どれもこれも右手の参加なしではなし得ない動作です。
また、日本はお箸を持つ文化でもあるため、右手の巧緻性が必要不可欠になります。
いざ、右手を動かさなくなる状況になれば、不便を感じる人がたくさんいるのではないでしょうか。
まとめ
右手の痺れの原因と対処法について書いてきましたが、少しでもお役に立てればと思っています。
右手と言っても、詳細な箇所から、原因や神経、筋肉をと特定し、感覚検査や筋肉の評価、また必要に応じ外科的処置を、重症度別に行うことが必要です。
右手は日常生活で最も動作に参加する関節であるために、詳細な評価が可能な医療機関に受診することをオススメします。
手のしびれが続いている時は、神経内科、整形外科を受診してみましょう。