直腸がん多臓器不全とは?症状や治療について
2016/03/29
目次
[直腸がん多臓器不全とは]
直腸がんが進行すると、多臓器不全を引き起こすことがあります。
多臓器不全というのは、生きるのに重要な臓器がいくつか正常に働かなくなってしまうことです。
具体的には、肺、肝臓、腎臓、消化器系、中枢神経系、循環器系、血液系の7つのうち、いずれか2つ以上の臓器が機能していない場合に多臓器不全と呼ばれます。
直腸がんの進行により、多臓器不全が起きてしまうと、
・腹部膨満や腸閉塞
・腸の壊死
・敗血症
・両側水腎症
などあらゆる症状が出始めます。
中でも直腸がんの多臓器不全では、敗血症が最も命の危険が高いものだといわれています。
多臓器不全の状態になると、体の免疫力が低下し感染症を併発することがあります。
直腸がん多臓器不全の治療
多臓器不全の治療は臓器1つ1つに対して行われていきます。
しかし、ある臓器を治療をしている間に、違う臓器が悪化してしまうということも珍しくありません。
臓器というのは他の何らかの臓器ともつながっており、これらが多数同時に異常を起こすと治療は困難となります。
多臓器不全の死亡率は、年齢、原因、持病により違いはありますが60~90%とかなり高いです。
したがって、現在は多臓器不全に陥らないようにする、つまり原因となる病気予防こそが重要な治療方法であるとされています。
次は、多臓器不全の原因となる、直腸がんについて知っておきましょう。
直腸がんについて
大腸がんは、大腸のほとんどを占めている結腸にできる結腸がんと、直腸にできる直腸がんに分けることができます。
大腸がんの発生率は、直腸が約34%、結腸が約66%です。日本人の約2人に1人ががん患者になる時代といわれていますが、日本人に急速に増えているがんのひとつが大腸がんです。
以前は男性に多く発症するがんだといわれていましたが、最近は男女差はほとんどありません。
年代的には50歳代から増え始め、60歳~70歳代の方が発症しやすくなっています。
日本人の食生活が欧米化したことで、動物性脂肪を摂り過ぎること(高脂肪食)や食物繊維の不足など、これらの食生活の変化により、日本人の大腸がんにかかる患者さんが増え、大腸がんの死亡率も増えてきています。
[直腸がんの症状は?]
大腸がんの自覚症状は、がんが大腸のどの部分によってできたのかによって違ってきます。
ここでは直腸がんについてお話します。
直腸がんの初期の頃はほとんど自覚症状はありません。
進行し症状が出てくる頃になると、まず肛門からの出血(下血)が起こり始めます。
この症状は最も重要な症状のひとつです。
この出血症状は約70%の患者さんに診られ、肛門に近い場所での出血は痔の出血と間違えるほどの鮮やかな出血で、とても鮮明です。
遠い場所での出血の場合は黒っぽく変色して出てくる場合もあります。
また、直腸の炎症も一緒に起きるため、何度も何度も便意が起こり、腹痛、便秘や下痢も繰り返し起こります。
さらに、がんにより直腸部分が細くなることで、便の太さが細くなります。
他にも、がんの進行が進むと、下血と共に粘液も排出されることがあり、腐敗したような悪臭も伴います。下血症状を繰り返すと貧血が強くなり、めまいを起こすようにもなります。
がん検診の必要性
厚生労働省では、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんについての検診を推奨しています。
しかし、がん検診の受診率は国際社会から見ても日本は20~30%低いことが現状です。
直腸がんは、早期の発見、治療で約90%は治ると言われています。
そのため、がん検診を受けて早期発見することはとても大切なのです。
しかし、大腸がん検診を受けずにいたり、初期症状が出ているにも関わらず「痔」だと勘違いして放置してしまった場合、がんがどんどん進行して多臓器不全を招くことがあります。
大腸がんの検診は男女共に40歳代以上の方が対象となっています。
がん検診は市区町村による住民健診、職場での検診などによって自己負担額は異なります。
中には、大腸がん検診の無料クーポンを出してくれる自治体もありますので、ぜひ、がん検診を受診することをお勧めします。
[がん検診1・便潜血反応]
大腸がんの検査の第一関門は便潜血反応検査です。
便潜血検査では、進行がんの約80%、早期がんの約50%を発見することができ、便潜血検査を受けることで、がん検診の中でも最も死亡率が下がっています。
方法は、便を採取して、便の表面を採便用の棒でまんべんなく擦ります。大腸がんやポリープがあると、便と組織が擦れたことで血液が付着することがあります。
便潜血検査は便に血が混じっているかどうかを調べることが目的です。
通常2日間分の便を採取しますが1日のみという検査機関もあるようです。便の採取は自宅で行う事ができ、食事制限もありません。
検査で異常がなければ、また一年後の検診ということになります。
もし異常ありの結果が出た場合、大腸内視鏡検査などの精密検査をして、がんがみつかれば治療を開始するという流れになります。
[がん検診2・大腸内視鏡検査]
異常ありの際に行う大腸内視鏡検査。異常ありという結果から気分も沈み、お尻から内視鏡と思うとなかなか検査を受けたくない、というのが本音だと思います。
恥ずかしさや怖さもあるでしょう。しかし、早期発見、早期治療こそが第一歩だと思います。
大腸内視鏡検査で痛みを伴うのではないかと不安になる方もいるでしょう。
最近では胃カメラ同様、麻酔をして検査を受けさせてくれる病院もありますから、お調べになって大腸内視鏡検査を受診することをお勧めします。
また当日は2リットルの下剤を飲みます。
内視鏡を入れることよりも、こちらの方が大変かもしれません。味もない液体のため、小さなグラスでちょびちょび飲むことはお勧めできません。途中で飲めなくなります。
テレビを見たりして気をそらしながら飲むことをお勧めします。
また、検査三日前は消化に良い食べ物(うどんやおかゆ、など)を食べることで、当日下剤を使用しても腹痛が起きにくかったという話も聞きます。
[まとめ]
直腸がん多臓器不全は、非常に死亡率が高い恐ろしい病気です。
多臓器不全を起こす前に、直腸がんの早期発見と治療が何より大切だという事ですね。
注意すべき症状は、下血(血便)、便秘と下痢を繰り返す、便の腐敗臭、です。
また、40代を過ぎたら年に一回はがん検診を受けに行きましょうね。