おへその周りが痛いのは病気?膿が出たら要注意!
おへその周りが痛いな…と感じたことはありませんか?
おへそのすぐ内側には腸があり、痛みは腸が原因の場合もありますが、思いもよらないことが原因かもしれません。
中には、命に関わる病気もありますので、早期の発見が大切です。
今回は、おへその周りが痛い原因についてご紹介させていただきます。
目次
臍炎
臍炎は、へその緒が取れた赤ちゃんに多く、へそに細菌が感染することで炎症がおこる病気です。
大人でも、へその掃除で傷つけたり、垢が溜まったまま放置していると発症することがあります。
症状としては、へそが赤く腫れて痛みを感じ、膿が出ることがあります。
そして、膿が大量に溜まると悪臭を伴い、突如激痛を感じることもあり、膿を取り除くための手術が必要となる事もあります。
また、重症化すると局部的な腹膜炎を起こし、細菌が全身に周り敗血症を発症する可能性もあります。
臍炎の治療
細菌感染が原因ですので、抗生物質の内服薬、または塗り薬での治療が効果的です。
軽度の場合は自然治癒するのですが、前述したように重症化すると膿を取り除く手術や敗血症になる可能性もあるので、早めに皮膚科へ行きましょう。
臍炎の予防には、おへそを清潔に保つのが1番です。定期的におへそのごま掃除を行いましょう。
尿膜管遺残症
尿膜管とは、胎児の時にへその緒と膀胱をつないでいる管のことです。
通常は、大人になるにつれて尿膜管は塞がっていくのですが、2%程の確率で大人になっても残ってしまうことがあります。
尿膜管遺残症は、その尿膜官に細菌が入り炎症を起こす病気です。
症状としては、おへその下の激しい痛みや、悪臭のする膿が出たり、倦怠感や発熱といった症状が見られます。
また、尿膜管遺残症の痛みには段階があり、
・筋肉痛に近いジンジンした痛み→お腹の張りを感じる痛み→動けないほどの激痛
と最終的には非常に強い痛みを伴います。
尿膜管遺残症の治療
尿膜管遺残症を治療するには、成人しても残っている尿膜管を取り除く手術が必要となります。
手術は全身麻酔の開腹手術が多く、退院までは約10日程かかります。
尿膜管遺残症は放置すると再発を繰り返したり、がんを併発する原因ともなります。
したがって、症状が出た時は早急に病院での治療を受けましょう。
腸閉塞
腸閉塞は、食べた物が体内を通常通りに流れず、小腸や大腸で詰まってしまった状態です。
原因には、便秘によるもの、手術の際の腸管の癒着、腸自体が自然にねじれてしまう腸捻転(ちょうねんてん)や、腫瘍による圧迫が挙げられます。
症状としては、
・突然の激しい腹痛
・吐き気、嘔吐
・お腹の張り
がみられます。
特に特徴的なのは、キリキリした腹部の激しい痛みが繰り返し起こる事です。
腸閉塞の治療
腹部の張りが強い場合は鼻から胃へチューブを入れ、溜まった内容物を取り除きます。
後は、食事を止め、点滴で栄養を補給しつつ、安静にして様子を見ることが一般的です。
しかし、腸閉塞の原因が癒着や腫瘍などの場合は手術を行う必要があります。
急性虫垂炎
いわゆる盲腸で、虫垂が何らかの原因で細菌感染による炎症を起こす病気です。
放っておくと、虫垂が壊死し腹膜炎になって敗血症を起こす可能性もあります。
特徴として、最初はおへそ周辺が痛くなり、次第に右下腹部の痛みを感じます。
急性虫垂炎の場合、腹痛のほかに、発熱や嘔吐などの症状が起こります。
急性虫垂炎の治療
手術で虫垂を切除する方法と投薬治療があります。
早めに発見することができれば、手術をせずに薬で治める事も可能です。
腸炎
腸炎の原因には、細菌やウイルスによる感染性のものが多く見られます。
有名なものでは、ノロウイルスやO-157などです。
症状には、おへそ周りの痛み以外にも、下痢、嘔吐、発熱などが現れます。
腸炎に関してはこちらもご参考下さい。
腸炎の治療
腸炎の多くは下痢を伴いますが、とりあえず下痢止めを飲めばいいかと言えばそうではありません。
ウイルス、細菌性の下痢の場合は、逆に薬を飲まず「ウイルスや細菌を出し切ってしまう」ことが大切です。
また、下痢や嘔吐が続くときは、脱水症状に注意が必要です。
意識的に水分は摂りましょう。常温のスポーツドリンクがおすすめです。
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過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、精神的ストレスが原因で腸の働きが悪くなる病気だと言われています。
20代から40代の若年層に多く発症するのが特徴です。
特徴として、炎症などの疾患が無いにも関わらず、おへそ周りの痛み、下痢や便秘を繰り返すといった症状が起こります。
過敏性腸症候群の治療
前述したように、過敏性腸症候群の原因となるものはストレスが大きいとされています。
したがって、ストレスをためないことが根本的な治療法となります。
しかし、症状が電車の中や会議中などに多く現れ、日常生活に支障をきたす場合は整腸剤を服用することも有効です。
また、精神的ストレスには、抗不安薬、抗うつ薬が有効なこともありますので、他の症状と合わせて心療内科を受診してみましょう。
尿路結石
尿路結石は、腎臓の中に石ができてしまい、その石が尿管内に引っ掛かる症状です。
尿路結石の症状は、おへその奥の方や、脇腹や下腹部、腰回りに耐えがたい激しい痛みを感じます。
また、脇腹や腰のあたりが痙攣したり、吐血や血尿の症状がみられる場合もあります。
近年、尿路結石に患者は増加傾向にあり、10人に1人の割合で発症すると言われています。
尿路結石の治療
尿路結石ができた場合、大きさが5ミリ程度までなら水分を多量に飲むことで、尿と一緒に排出されるのを待ちます。
しかし、それ以上に大きい場合、結石部分に衝撃波を当てて粉砕するというESWL(体外衝撃波砕石術)が行われます。
腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤は腹部大動脈に動脈瘤ができる病気です。
原因の90%は動脈硬化によるもので、60代以降の男性に多い病気です。
症状としては、最初は無症状で動脈瘤が大きくなってくると神経を圧迫しておへそ周辺の痛みを感じます。
また、脈を打つ瘤を手で触れる事もあります。
そして、動脈が破裂してしまうと突如激しい激痛を感じます。
破裂する前に早期発見する事が重要なのですが、腹部大動脈瘤は症状から早期に発見することが難しい病気です。
したがって、突如破裂による激痛を感じショック状態を起こし、意識を失ってそのまま死亡するケースも多いのです。
腹部大動脈瘤の治療
腹部大動脈瘤を発見した場合、破裂する前に降圧薬などで投薬治療するか、手術による人工血管治療が必要です。
もし大動脈瘤が破裂した場合は緊急手術が必要となります。
破裂した際は、手術を行っても死亡率は30~50%と高く危険な病気です。
大切なのは、少しでも体に違和感があれば検査を受け、早期の発見を心がける事です。
特に高血圧を指摘されている人は、定期的な健康診断を受けるようにしましょう。
妊娠
女性の場合は、妊娠初期の症状でおへそ周りが痛くなることがあります。
特徴としては、引っ張られるような感覚や、キュッと締め付けられるような痛みを感じます。
妊娠時のこの痛みの感じ方は人それぞれで様々な例があります。
非常に強い痛みを感じる方もいれば、ほとんど痛みを感じない方もいます。
したがって、必ずこの特徴が現れるといった痛みではありませんが、共通している事はおへその周りが痛いという点です。
思い当たる方は、一度産婦人科を受診してみましょう。
まとめ
おへそ周りが痛いのは、様々な原因があります。
中には、尿膜管遺残症や腹部大動脈瘤のように早期の治療が大切な病気もあります。
一時的なものですぐ治まるものは大丈夫ですが、
・膿が出てきた
・長期間痛みが続く
・耐えがたい激痛を感じる
時は早急に病院へ行きましょう。
おへその周りが痛いときは、消化器内科、内科を受診しましょう。
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