女性の左下腹部の痛み!7つの原因と治療法をご紹介!
2016/04/03
下腹部が痛い原因は色々あり、医師でも原因を特定することが困難な場合があります。
さらに、女性の場合、下腹部が痛いと婦人科を受診するのか内科を受診するのか迷う方も多いと思います。
女性の下腹部には子宮や卵巣等の生殖器が備わっている大切な場所です。
今回、女性特有の左下腹部が痛い原因と治療法をご紹介します。
目次
生理痛・月経トラブル
女性のほとんどの方が、月経時に何らかの不快感を感じています。
生理は女性ホルモンの一つである、プロスタグランジンが子宮を収縮させ、子宮内膜が剥がれる時の出血を排出させる役割があります。
この、プロスタグランジンは痛みを発生させる作用があります。
通常、生理が終わると下腹部の痛みは治まります。
しかし、生理後も痛みが続く場合は以下の可能性が考えられます。
・ホルモンバランスの崩れ
・排卵痛
・妊娠の初期症状
・婦人科系の病気
できれば、普段から基礎体温を測っておくようにしましょう。
体温の変化を参考にして、排卵日や妊娠の可能性を把握しやすくなります。
子宮付属器炎
子宮付属器は卵巣や卵管の総称です。
卵巣や卵管に起こる、細菌感染による炎症を子宮付属器炎と言います。そのため、子宮付属器炎は、卵巣炎と卵管炎の2つの疾患を合わせた病名です。
卵管は、骨盤内の臓器の中で炎症が起こりやすい箇所です。
免疫力や抵抗力が低下している時に、不潔な性行為や性感染症の羅患者との性行為などで細菌に感染することで発症します。
子宮付属器炎の原因となる細菌には、
・性感染症の原因になるクラミジア、トルコマチス、淋菌等
・一般細菌の大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、バクテリア
があり、上記の細菌に混合感染し炎症が起こります。
症状は、下腹部痛や腰痛、発熱、吐き気、嘔吐、おりものの増加等が見られます。
子宮付属器炎の治療法
まずは、原因となっている細菌に対して、抗生物質などを使用する薬物治療を行います。
抗生物質でも症状が治まらない場合は、手術を行う場合もあります。
卵巣や膿腫を摘出するためのものから、膿汁を排出させるだけのものまであり、年齢や今後の出産希望の有無、他の疾患などを考慮して手術の程度を決定します。
子宮筋腫
初潮を迎えてから閉経するまでの女性であれば、誰でも子宮筋腫に罹患する可能性があります。
子宮筋腫は、女性ホルモンの一つのエストロゲンによって発生し、子宮を囲んでいる子宮筋層に良性の腫瘍が出来た状態です。
腫瘍はコメ粒程度の大きさから数十センチ程度まで大きさが異なります。腫瘍の数も1つから数か所ある場合もあります。
婦人科系の腫瘍で最も多い疾患で主な症状は、
・月経時の出血の増加
・月経期間が延びる
・貧血
・腰痛
・便秘、頻尿
・疲れやすい、倦怠感
・下腹部痛、下腹部の鈍い痛み、腹部の圧迫感
等が見られます。しかし時には、全く症状が見られない場合もあります。
子宮筋腫ができると、子宮内膜への血流が悪くなり不妊症や流産、早産の原因になるので、異常が見られた時は婦人科を受診すると安心です。
子宮筋腫の治療
治療には、薬物療法と手術療法があります。
薬物療法では、GnRHアゴニストという薬が使用されます。
GnRHアゴニストは人工的に閉経の状態を作る薬です。
更年期で自然閉経に近い人や、手術前に筋腫を小さくするために使用されます。
しかし、GnRHアゴニストは女性ホルモンが少なくなり、更年期障害のような症状が出る事があるため半年間しか続けられません。
手術は、基本的に子宮全摘術です。しかし、子供が欲しい人は筋腫だけを摘出することも出来ます。
また、腹腔鏡などの内視鏡によるお腹を切らずに行える手術もあります。
卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)
卵巣は靭帯で子宮と骨盤につながっています。
卵巣に腫瘍ができると靭帯が伸び、腫瘍の茎の部分がねじれるのが卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)です。
重症化すると、卵巣に血液が届かなくなり壊死を起こす可能性があります。
症状は、急激で激しい下腹部の痛み、吐き気、嘔吐等です。
卵巣嚢腫茎捻転の治療法
治療には手術しかありません。
以前はお腹を大きく切開するのが通常でしたが、最近では内視鏡による傷や負担が軽い手術が増えてきています。
また、年齢、他の疾患、本人の希望によって卵巣を残す事も出来るようです。
子宮内膜症
本来、子宮の内側にある子宮内膜が、卵巣や腹膜など子宮の外側に出来てしまう事があります。
通常は子宮内膜が剥がれると、月経時に体外に放出されます。
しかし、子宮外にできた子宮内膜は、卵管を通り腹腔内に逆流し排出されず、その場で子宮内膜と似た組織を作り広がっていきます。
この組織は月経時と同じように細胞から血液がでますが、排出される出口がないのでその場に留まってしまいます。
この症状を子宮内膜症と言います。
そのため腹部に、
・激しい痛み
・炎症、癒着
・不正出血、血尿
などが見られます。
卵巣内にまで組織が広がると、卵巣がんに移行する場合もあるので放置はできない疾患です。
子宮内膜症の治療
治療にはホルモン治療と手術があります。
子宮内膜症には、エストロゲンという女性ホルモンが影響しています。
したがって、ホルモン注射や内服薬でエストロゲンの働きを抑えてしまうのがホルモン療法です。
擬妊娠療法と擬閉経療法があり、人工的に閉経時のホルモン状態にするのが目的です。
ホルモン治療で回復しない場合は、手術になります。内視鏡によるものと通常の開腹手術があります。
子宮外妊娠
子宮腔外に受精卵が付着することを子宮外妊娠と言います。全ての妊娠の1%ほどに見られる症状です。
主な症状は、出血や下腹部痛で下腹部痛が左側もしくは右側に偏るのが特徴です。
受精卵が成長するとともに痛みが増し、卵管が破裂すると腹腔内で大量の出血が起こりショック症状を起こしてしまうこともあります。
卵管破裂や大量出血を起こした場合は緊急手術が必要となります。
時には命の危険を伴うこともあるため早期の発見が重要です。
子宮外妊娠の治療
緊急を要しない時、流産してそのまま吸収されることもあるので、まずは待機して様子を見ることが多いです。
それでも改善しない場合には薬物療法か手術が行われます。
薬物治療に使用される薬品は、抗がん剤の一種になります。
子宮頸がん
子宮頸がんは子宮の頸部にがんが発生した状態です。
ガンはまず子宮上皮に留まり、次第に子宮の筋肉に浸透していきます。
次に、膣や子宮周辺に癌細胞が進行し骨盤内のリンパ節に転移する場合もあります。
初期段階は自覚症状があまりありません。
進行すると不正出血や腰痛、腹痛、下腹部の痛み等の症状が現れます。
上記の自覚症状が現れる頃には、かなりガンが進行している場合もあります。
子宮頸がんは、早期に発見できれば、子宮を取らずに治すことができ、完治後は妊娠・出産も可能です。
定期的に婦人科検診を受けておくようにしましょう。
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療は、手術療法、抗がん剤治療、放射線療法が主な治療法になります。
治療法は、年齢、他の疾患、がんの進行具合を考慮して選ばれます。
まずは病状を把握して、担当医とよく相談して治療に当たりましょう。
まとめ
女性の下腹部の痛みの原因は、問題のないものもあれば、婦人科系の病気が隠れている事もあります。
自己判断で問題ないと思わずに、痛みが続くようなら病気の可能性もあるので、早めに病院を受診するようにしましょう。
生理前後でもないのに下腹部が痛むときは、内科と婦人科がある総合病院を受診するのがいいでしょう。
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