ワイドシリン(アモキシシリン )の副作用や効果について!
「ワイドシリン」という名前は聞いたことがなくても「ペニシリン」という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「ワイドシリン」は実は「ペニシリン系抗生物質」の一つです。
今回は、そんな「ワイドシリンの副作用や効果」について詳しく説明しましょう。
ワイドシリンとは?
感染を起こす細菌の細胞壁合成を阻害して、細菌を殺す働きがある「ペニシリン系抗生物質」のひとつです。
ワイドシリンと小児について
「ワイドシリン」は小児用としてもよく処方されるお薬です。
桃色のミックスフルーツ風味ですが、ややペニシリン臭があるとされています。
混ぜて飲むと飲みやすいものとしては「牛乳」「アイスクリーム」「オレンジジュース(果汁25%くらいのもの)」などがあげられております。
逆に相性が悪いものとしては酸味のある「ヨーグルト」「スポーツ飲料」「乳酸菌飲料」などがあげられています。
混ぜると苦味が増すことあるというのがその理由です。
ワイドシリンと中耳炎について
中耳炎の炎症の原因となっている細菌の増殖を抑えたり死滅させたりするために、抗生物質などが使われます。
抗生物質にはセフェム系、ペニシリン系、マクロライド系、キノロン系などのいろいろな種類があり、それぞれ効果のある細菌の種類が異なります。
医師は、実際に見つかった細菌や、感染が予測される細菌に対して効果のある、最適な種類の薬を選んで使います。
ある耳鼻科の先生は、まず主成分が「アモキシシリン水和物」であるお薬を選び、その中でも「同じ強さだとすると他より少ない量ですむ」という「ワイドシリン」を使用することが多いとコメントしていました。
しかし、抗生物質に対して抵抗力を持った菌も増え始めており、医師の考え方にも違いがありますので、すべての耳鼻科の先生が「ワイドシリン」を使うというわけではありません。
効果・効能
効果のある菌としては、
・グラム陽性菌
・グラム陰性菌の両方の細菌(赤痢菌、大腸菌、変形菌、インフルエンザ菌、腸球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、ぶどう球菌、淋菌など)
があげられており、特に「ワイドシリン」はペニシリン剤の中では、もっとも利用されている薬です。
具体的に効果のある疾患としては
・呼吸器の感染症(扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎・猩紅熱・肺炎・気管支炎など)
・目・耳・鼻の感染症(眼瞼膿瘍・麦粒腫・外耳炎・中耳炎・副鼻腔炎など)
・歯の感染症(歯槽骨炎・智歯周囲炎・抜歯後感染など)
・泌尿器・尿路の感染症(腎盂腎炎・膀胱炎)・尿道炎・前立腺炎・子宮内感染など)
・皮膚の感染症(瘭疽・癤・癰・膿痂疹など)
・性感染症(梅毒・淋病など)
・その他の感染症(乳腺炎、細菌性心内膜炎、腹膜炎、敗血症、炭疽病、関節炎、リンパ節炎など)
・やけどや手術後の二次感染の治療
などがあげられます。
主成分は「アモキシシリン水和物」であり、この成分に特化したものとして
・消化性潰瘍におけるヘリコバクター、ピロリ菌の除菌の補助
・胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃ガンに対する内視鏡的治療後のヘリコバクター、ピロリ感染症
にも使用されてます。
用法・用量
(ヘリコバクター・ピロリ感染症を除く感染症)
通常、大人は1回1.25gを1日3~4回服用します。
小児は1日0.1~0.2g/kgを3~4回に分けて服用します。
状況に応じて医師の指示により、増減しますが、小児では1日量として90mg/kgを超えないこととされています。
(胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症)
通常、大人は1回3.75g、もう1種類の抗生物質、胃酸の分泌を抑える薬の3剤を同時に1日2回、7日間服用します。
副作用
「過敏症状(発疹・発熱・かゆみなどのアレルギー症状)」や「下痢」「吐き気」「腹痛」「食欲不振」などの消化器症状を起こすことがあります。
まれではありますが「ショック症状」「血液障害(貧血など)」「腎臓障害」「口内炎」「偽膜性大腸炎」「肝機能障害」「黄疸」なども報告されています。
特に、お薬を飲んだ後、「口内の異常(口渇・痛み・ただれなど)」「めまい」「耳鳴り」「発疹」「頻繁な便意」「喘鳴」などの症状がおこったときは、ショック症状の前兆のこともあるので、すぐに薬を中止して、医師に相談してください。
「アモキシシリン水和物」特有の副作用としては「皮膚粘膜眼症候群」「中毒性表皮壊死症」「急性汎発性発疹性膿疱症(高熱と多数の小膿疱を伴う紅斑が急激に現れる疾患)」がおこることがあるとされています。
以前に「ペニシリン系の薬でアレルギーをおこした人」は使用できませんし、例え他の薬であってもアレルギーをおこしたことのある人や、両親・兄弟に強いアレルギーがあるような人は、十分注意して使用する必要があります。
その他にも、肝臓・腎臓・胃腸・血液に関する病気がある人、全身状態の悪い人、妊婦などは、使用することによって病状を悪化させたり、胎児に影響を与えたりする場合があります。
事前にそのことを伝えなければ、医師にはわかりませんので、受診する前に自分の病気や飲んでいる薬についてまとめておくといいかもしれません。
お薬手帳を持参することも一つの方法です。
忘れていたでは、すまされないこともありますので、気を付けたいものですね。
以前、抗生物質を使用する前には「皮内テスト」といってツベルクリン反応と同じようないわゆる「豆注射」を行って、アレルギーがないか調べていたものですが、最近はあまり意味がないとのことで、中止されている病院が多いようです。
それだけに患者さんの「自己申告」は大きな意味を持ちますので、ご自身がアレルギーを起こした場合、お薬の名前はしっかりと覚えておくようにしてください。
まとめ
ワイドシリンは、アモキシシリン水和物を主成分としたペニシリン系の抗生物質です。
アレルギーはまれな反応ではありますが、100%ないとは言い切れません。
特にご高齢で理解力の低下している方などに対しては、家族が気を配ってあげたいものですね。
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