セファメジン(セファゾリン)の副作用や効果について!
セファメジンは看護師をしている方にとっては、とても身近なお薬でしょう。
よく点滴として使用されています。
以前は注射器で薬剤を溶かして使用していたのですが、最近は薬剤と溶解液が一つのボトルにセットされており、ボトルの一部をひねるだけでコネクターを介して溶解されるタイプが主流ですので、とても便利になりました。
とは言ってもコネクタータイプが発売されたのは平成2年ですので、若い看護師さんたちには、いま一つぴんとこないかもしれませんね(笑)
今回はそんな、セファメジン(セファゾリン)の副作用や効果について詳しく説明したいと思います。
セファメジン(セファゾリン)とは?
セファメジン(成分:セファゾリン)は、「セフェム系」のうちの「第一世代」に分類される抗生物質です。
このお薬は、細菌の細胞壁の合成を抑え、病原菌の増殖を抑えて殺菌させる効果があります。
効果・効能
・「敗血症」「感染性心内膜炎」「皮膚感染症」「リンパ管炎・リンパ節炎」「慢性膿皮症」
・「びらん・潰瘍の二次感染」「外傷・熱傷及び手術創等の二次感染」
・「乳腺炎」「骨髄炎」「関節炎」
・「急性気管支炎」「咽頭炎・喉頭炎」「扁桃炎」「肺炎」「肺膿瘍」「膿胸」「慢性呼吸器病変の二次感染」
・「膀胱炎」「腎盂腎炎」
・「腹膜炎」「胆のう炎」「胆管炎」
・「子宮内感染」「子宮付属器炎」「子宮旁結合織炎」
・「眼内炎」
・「中耳炎」「副鼻腔炎」「化膿性唾液腺炎」
製品例は
・セファメジンα注射用2g
・セファゾリンナトリウム注射用2g
・トキオ注射用2g
・セファゾリンNa注射用2g
それぞれ「0.25g」「0.5g」「1g」「2g」があります。
冒頭で紹介した「キット(100ml生食水とコネクターでつなげたもの)」には「1g」「2g」があります。
用法・用量
「セファリゾン」として、「1日量1gを2回に分けて」、小児には「体重㎏あたり20~40mgを2回に分けて」緩徐に静脈内へ注射しますが、筋肉内へ注射することも可能です。
効果不十分と判断される場合には、「1日量1.5~3gを3回に分けて」、小児には「体重kg当り50mg」を3回に分けて投与します。
症状が特に重篤な場合には、「1日量5gまで」、小児には「体重kg当り100mgまで」を分割投与することができます。
また、輸液に加えて、静脈内に点滴注入することも可能です。
【注射液の調製方法】
≪静脈内注射≫
「注射用水」「生理食塩液」「ブドウ糖注射液」のいずれかに溶解します。
本品1gの溶解には3~3.5ml以上を使用します。
≪筋肉内注射≫
「リドカイン注射液約2~3ml」に溶解します。
「0.25g」「0.5g」の溶解には約2mlを使用し、「1g」の溶解には約3mlを使用します。
副作用
セファメジンの重大な副作用としては以下のようなものがあります。
【①ショック】
0.1%未満の頻度ではありますが、発生した場合早急な対応が必要になります。
観察を十分に行い、特に「不快感」「口内異常感」「喘鳴」「めまい」「便意」「耳鳴」「発汗」などの症状に注意しましょう。
【②血液障害】
「発熱」「咽頭痛」「頭痛」「倦怠感」「貧血症状」「点状出血」「紫斑」などが現れます。。
【③肝障害:黄疸】
肝機能の検査値が上昇します。
【④アナフィラキシー様症状】
これも0.1%未満と低い頻度ではありますが、重篤な副作用になります。
「呼吸困難」「全身紅潮」「血管浮腫」「じんましん」などが現れることがあります。
【⑤腎障害】
急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあります。
【⑥皮膚障害】
「皮膚粘膜眼症候群」「中毒性表皮壊死症」に注意が必要です。
「発熱」「頭痛」「関節痛」「皮膚紅斑・皮膚水疱」「粘膜紅斑・粘膜水疱」「皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛」などの症状が起こります。
【⑦大腸炎】
クロストリジウム・ディフィシル菌が増殖する偽膜性大腸炎等の大腸炎が現れることがあります。
血便などを伴うこともありますので「腹痛」「頻回の下痢」などに注意が必要です。
【⑧間質性肺炎】
発熱、咳嗽、呼吸困難などに注意しましょう。
【⑨けいれん】
腎不全の患者に大量投与すると、けいれんなどの神経症状を起こすことがあります。
【⑩その他の副作用】
・「悪心」「嘔吐」「食欲不振」「下痢」
・菌交代症(口内炎、カンジダ症)
・ビタミンK欠乏症状(出血傾向など)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎など)
・頭痛、めまい、全身倦怠感
使用上の注意点
注射薬の場合、内服薬以上に副作用に対する注意が必要です。
・「セフェム系のお薬で、ショックやアレルギーを起こしたことがある方」
・「両親や兄弟にアレルギー症状が強い人がいる方」
・「腎臓の障害がある方」
・「全身状態が悪かったり、栄養が十分取れない可能性のある方」
などは事前に医師にそのことを伝えておくことが重要になります。
医療従事者も、注射を行う前に、必ず問診を行い、ショック症状を起こした場合に対する救急処置がすぐとれるよう準備をしておくことが大切です。
また、投与開始から、終了後まで、十分観察を行うことも大切です。
特に開始直後は目を離さず、注意深く観察するようにしましょう。
静脈内大量投与することによって、血管痛や血栓性静脈炎を起こす可能性があるので、予防するには注射速度はできるだけ遅くするようにします。
溶解した後は、室温又は冷蔵庫保存にて、48時間以内に使用することとされていますが、できるだけ直前に溶解するのが望ましいでしょう。
膵炎に対して使用される「ガベキサートメシル酸塩」や「ナファモスタットメシル酸塩」、消化管出血などに使用される「シメチジン」や「ファモチジン」、抗生物質の中では「アミノ糖系抗生物質」と混合すると混濁することがありますので、他の点滴と同時に施行する場合などには注意が必要です。
まとめ
セファメジンは点滴で使用されるお薬ですので、医療従事者側が気をつけるべきことが多いと思いますが、どのようなお薬なのか知っておくことや、副作用を起こさないための情報提供は大切になってきます。
セファメジンは術後の感染予防に使用されますが、医師が総合的な判断をして、患者さんにセファメジンを使用することは可能か、使用する量はどのくらいかなどを決定します。
判断材料となるのは「患者さん自身が申告した病名」や「手術前に行った血液検査のデータ」などになりますので、きちんと申告することが大切ですね。
特に、手術と関係のない感染症などで使用する場合には、事前に血液検査を行うわけではありませんので、「患者さん自身が申告した病名」だけが、判断材料になります。
普段から、自分自身の持病やアレルギーの既往などについて、すぐ応えられるようまとめておくとよいと思います。
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