ホスピタルランド~病気の症状から考える早期発見ブログ~

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風邪に抗生物質は効果あるのか?

   

みなさんは風邪の時に「抗生物質」を使用されたことはありますか?

いろんな意見を聞いたことはあるけど、実際どうなのかよく知らないという方も多いでしょう。

本当のことを理解するためには「風邪」と「抗生物質」について知ることが大切ですので、まずはそのお話から始めたいと思います。

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風邪について

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そもそも風邪って何でしょう?

風邪とは「微生物が鼻やのどに感染することで起こる急性炎症の総称」のことです。

風邪によって起こる鼻水やのどの痛み、発熱などの症状は、身体がこの微生物と戦っているために起こるものです。

のどではのどの粘膜の炎症が起こって、咳や痰によって異物を外へ出そうとします。

また、発熱することによって、微生物の侵入により身体に異変が起こったことを知らせると同時に、自分で自分の体を治そうとする免疫の働きが活発になります。

 

風邪の原因となる微生物の正体とは?

肝心なのはこの微生物の正体ですが、原因である微生物の80~90%が「ウイルス」であると言われています。

まれに「一般細菌」「マイコプラズマ」「クラミジア」などによる場合もありますが、風邪の原因のほとんどは「ウイルス」であると言ってもいいでしょう。

 

しかも、風邪のウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを見極めるのはまず、不可能です。

さらに、一度感染したウイルスに免疫ができたとしても、「同じウイルスであっても、いくつもの型がある」「年々変異する」などの理由により、新しいウイルスに感染して、何度も風邪をひいてしまうのです。

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風邪がこじれて起こる症状について

人が1年に風邪をひく回数は3回~6回くらいだと言われています。

4、5日から1週間くらいで治るものがほとんどで、熱が出ても3日以上続くことはないのが一般的です。

 

しかし、中には風邪をこじらせて重症化するケースもあるようです。

例えば

「細菌に二次感染して、色のついた痰が出たり、熱が下がらなかったりする」

「風邪が引き金となって他の合併症を引き起こす」

などという場合です。

引き起こす可能性のある合併症としては、「中耳炎」「副鼻腔炎」「気管支炎」「肺炎」「脳症」などがあげられます。

 

抗生物質とは何か?

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では抗生物質とは何でしょうか?

抗生物質は感染症に対して処方されるお薬ですが、「細菌」に対しては効果がありますが「ウイルス」に対しては効果がありません。

つまり「ウイルス」が原因であると言われる風邪に対しては、効果がないお薬なのです。

でも風邪の時に、病院で抗生物質を処方してもらった方もいらっしゃるかもしれません。

では何のために処方されるのでしょうか?

これは、抗生物質を処方すべきかどうかで、医師によっても意見が分かれるところがあるからなのです。

 

処方しても良いという意見

最初の診断で、その原因が「ウイルス」だと断定はできないため、「細菌」であることも想定したうえで、処方するという意見もあれば、厳密には「ウイルス」が有効な抗生物質も少ないが存在するという意見もあります。

また、弱った体を上記した二次感染や合併症から守るために処方するという意見もあります。

 

処方すべきでないという意見

もちろん、二次感染や合併症を起こした場合は、必要に応じて、抗生物質を処方するべきです。

しかし、そのような症状を起こしていない場合は、事前に抗生物質を処方すべきでないという医師も多いのは事実です。

 

「せっかく受診したのに薬をくれない」

「効くかもしれないのなら、処方してくれればいいのに」

と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それには理由があり、抗生物質を安易に処方することによる弊害がありえるからです。

その弊害として、もっとも懸念されているのは「耐性菌」の問題です。

「耐性菌」とは「抗生剤が効きにくくなっている菌のこと」で、通常の抗生剤で殺すことができません。

耐性菌に感染すると、入院して点滴をしなければならなくなったり、どんな治療を行ってもよくならなかったりすることがあります。

 

また、乳幼児に抗生物質を飲ませることは、腸内細菌を減らし、アレルギーを増やすことにつながるという意見もあり、小児科では特に処方しない傾向が強いと言えます。

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耐性菌について

では、どんな風に「耐性菌」はできていくのでしょうか。

抗生剤が使われると「感受性菌」(抗生剤に効く菌)だけが殺されます。

しかし,抗生剤が効かない耐性菌は生き残って、増殖を続け強くなっていきます。

抗生剤を繰り返し使用したり,不適切な使用を続けたりすると、これが繰り返されて「耐性菌」が作られていくのです。

 

耐性菌の増殖を防ぐためには、必要最小限の抗生物質を、決められた期間にだけしっかりと使用することが有効だとされています。

 

また、「症状が治まったので、途中で抗生物質の服用を止めてしまう」という人が多くいます。

しかし、こういった中途半端な形で抗生物質を服用することは、細菌を鍛えてしまっていることとなり、耐性菌を生みやすい危険な行為なのです。

自己判断で服用を止めたり、前回の分を取っておいて勝手に服用したりする行為は絶対にやめましょう。

 

まとめ

抗生物質は、基本的には風邪には効果がありません。

状況に応じて処方される場合もありますが、不必要な使用は、弊害のほうが多いと言えますので、医師の指示に従って、使用することが大切です。

 

医師が耐性菌を考慮して「処方しない」と言っているにもかかわらず、他の病院をまわって抗生物質を求めるなどという行為は、実は危ないということがお分かりいただけたでしょうか?

実際に、風邪のときに最初から抗生物質を飲んでいた場合、その後に薬が効かない菌による肺炎が増えるということが分かっており、アメリカ小児科学会の診療方針では「風邪」に抗生剤の使用を禁止しています。

 

目先のことだけにとらわれずに、自分自身の未来を考えてお薬を使用したいものですね。

 

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