カナマイシンの副作用や効果について!
カナマイシンというお薬をご存じでしょうか?
カナマイシンはアミノグリコシド系の抗生物質で細菌性の疾患に有効なお薬です。
今回は、カナマイシンの副作用や効果についてご紹介させていただきます。
カナマイシンとは?
「カナマイシン」はアミノグリコシド系の抗生物質です。
抗生物質にもいろいろなタイプがありますが「カナマイシン」は細菌が生育するのに必要なタンパク質ができるのを阻害して、細菌を死滅させる作用があります。
このお薬はほとんど腸から吸収されないので、飲み薬として飲んだ場合、腸の病気にはよく効きますが、腸以外の病気にはその成分が届かないので、効きめがありません。
そのため、腸以外の病気に使用する際には、飲み薬でなく注射という方法を使う必要があります。
飲み薬には「ドライシロップ剤」「カプセル剤」などの形態があります。
効果・効能
細菌への抗菌作用としては「大腸菌」「赤痢菌」「腸炎ビブリオ」などの細菌に有効だとされています。
症状としては
・細菌性赤痢
・腸炎
・腸管手術後の感染予防
・乳幼児の下痢
などに対して用いられています。
特に「硫酸カナマイシン製剤」は、強力な殺菌作用があるため、腸の手術前に使用して、手術中に起こる感染を予防するなどの目的で使用されています。
他にも、肝臓病に合併して起こる「肝性昏睡」の治療に使われたりもします。
用法・用量
用法・用量については、通常成人1日2~4gを4回に分けて飲むこととされています。
小児に対しては、体重1kgあたり50~100mgを同じく4回に分けて飲むこととされており、年齢や症状により適宜増量することとされています。
1日あるいは1回の服用量については医師の指示をきちんと守ることが大切です。
また、血液中の濃度が一定でなければ効果がない薬なので、指示された時間ごとに使用することが基本になります。
飲み忘れたからといって後でまとめて飲んだりすることのないよう気を付けましょう。
また、薬を勝手に中止したり、量を変えたりすることは、薬が効かなくなったり、症状を悪化させたり、あらたな感染症を引き起こしたりする事態を招くことにもつながります。
医師にこの事実を黙っていると、これだけの量を処方しているのに、これだけの効果しか出ないなどという誤った認識をしてしまうことになりかねません。
くれぐれも自己判断で、勝手な服用をしないようにしましょう。
副作用
・「発疹」や「かゆみ」などといった過敏症状
・「食欲不振」「吐き気」「下痢」などの消化器症状
・「難聴」「耳鳴り」「耳のつまった感じ」などの聴覚症状
があらわれることもあります。
「腎障害」「ビタミンB欠乏症(脚気(かっけ)が代表的、症状は倦怠感、動悸など)」「ビタミンK欠乏症(出血しやすくなるなど)」なども報告されています。
他にも「めまい」「排尿量の著しい減少」「異常なのどの渇き」「強い不安感」などの症状として現れる場合もありますので、これらの症状がおこったときは、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。
高齢者や全身状態の悪い人は、副作用が出やすいので特に気をつけるべきです。
また、副作用出現の有無の確認のために、医師から検査を指示される場合がありますので、面倒がらずに必ず受けることも大切です。
ご自身が以前から持っている病気についても気を配る必要があります。
とくに「腸閉塞」「腎障害」「聴力障害」「平衡感の喪失」「腸管潰瘍」などの病気がある人には、使用量を減らさないと、ますます症状を悪化させることになりかねません。
アレルギーの既往についても注意が必要です。
以前に「アミノグリコシド系抗生物質」「バシトラシン製剤(抗生物質)」を使用して過敏症状をおこしたことがある人は、原則としてこの薬を使用できません。
また「麻酔剤」「筋弛緩剤」などと併用すると呼吸が抑制されるので、使用してはいけないことになっています。
手術をするのでなければ、まず使用することはないと思われますが、気をつけておきたい点ではあります。
看護師の方に聞いた話ですが、患者さん、その中でも特に高齢の方々が、自分の病気をあまり把握しておらず、飲んでいるお薬についての記憶もあいまいなことが多いそうです。
また、例え覚えていても、自分は病気ではないと思いたい気持ちが強くて、医師の説明とは全く違う病状を話したり、もう治ったからと勝手に薬を辞めていたりする方々が多くみられます。
自分の健康状態を過信せず、病院を受診する際には必ず「お薬手帳」を持参して下さい。
「お薬手帳」をもっていれば、例え病名を忘れていても、お薬の内容からある程度推測できますし、飲んでいるお薬の詳細もわかります。
そうすれば余計な副作用に苦しむこともなくなるのです。
カナマイシンと汗性脳症
肝臓は身体の有害な物質を解毒する作用を持っています。
肝臓が悪くなると、この解毒機能が低下して、神経毒性を持つ「アンモニア」などの物質が体内で増えてしまうことになります。
「アンモニア」は分子量が小さいため、本来なら通過しにくい血液と脳の間と通過しやすく、脳にダメージを与えます。
それによって引き起こされるのが「肝性脳症」と呼ばれる病気です。
「食欲不振」「吐き気」「意識障害」に加え、特異的な運動障害(羽ばたき振戦など)が主な症状です。
カナマイシンは「アンモニア」を産生する腸内細菌を死滅させて、血液中の「アンモニア」を減らすことができるため、「肝性脳症」に使用されているのです。
まとめ
どのお薬にも言えることですが、効果が高いお薬であれば、ある程度の副作用があることは仕方のないことです。
医師は、そのことも考慮したうえで、ご本人に最適なお薬を吟味し、処方しています。
自分自身のためにも、医師の正確な診断のためにも、指示通りにきちんと服用することが最も大切なことになります。
その上で、気になることがあれば遠慮せずにどんどん医師に相談しましょう。
あなたのコメントは重要な治療の指針となります。
よいお薬を効果的に使用して、一日も早く健康な毎日を取り戻したいものですね。
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