メロペン(メロぺネム)の副作用や効果について!
2016/06/07
「メロペン」とはどのようなお薬なのでしょうか。
あまり聞きなれないお薬ですが、たくさんある抗生物質の中の一つです。
今回は、そんな「メロペン(メロぺネム)の副作用や効果」について詳しく説明しましょう。
メロペンとは?
メロペン(成分:メロぺネム)は「カルバペネム系抗生物質」と呼ばれる種類のお薬であり、細菌だけにある「細胞壁」という壁をターゲットにして攻撃することで、細菌だけを殺す作用を持ったお薬です。
おもに、感染症の治療のために使用されます。
メロペンの大きな特徴はその効果の広域性であり、あらゆる細菌に効果が期待できます。
したがって、原因菌を特定するのが難しい感染症に対してメロペンを投与する事も多くあります。
効果・効能
リンパ管炎、リンパ節炎、敗血症、深在性皮膚感染症、外傷、熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、扁桃炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼内炎、中耳炎、副鼻腔炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎
など実に様々な感染症に効果があります。
また、発熱性好中球減少症にも使用されています。
多くの細菌に効果がありますが、緑膿菌や黄色ブドウ球菌に対しても強い効果を示します。
用法・用量
(化膿性髄膜炎以外の一般感染症)
大人には、1日0.5~1gを2~3回に分けて、30分以上かけて点滴注射するとされています。
年齢・症状に応じて医師の指示により量を減らすことがありますが、重症の場合や・治りにくい感染症の場合には、1回1gを上限とした上で、 1日3gまで増やすことが可能です。
また、子供に対しては、1日30~60mg/kgを3回に分けて、30分以上かけて点滴注射します。
年齢・症状に応じて医師の指示により量を減らすことがありますが、重症の場合や・治りにくい感染症の場合には、1日120mg/kgまで増量することができます。
ただし、成人における1日最大用量3gを超えないことが条件です。
(化膿性髄膜炎)
大人には1日6gを3回に分けて、30分以上かけて点滴注射します。
子供には1日120mg/kgを3回に分けて、30分以上かけて点滴注射します。
ただし、成人における1日最大用量6gを超えないことが条件です。
(発熱性好中球減少症)
大人には1日3gを3回に分けて、30分以上かけて点滴注射します。
子供には1日120mg/kgを3回に分けて、30分以上かけて点滴注射します。
ただし、成人における1日最大用量3gを超えないことが条件です。
副作用
「バルプロ酸ナトリウム」を現在使用されている方は、一緒に使用することにより,バルプロ酸の血中濃度が低下し,てんかんの発作が再発することがあるため、原則、使用禁止だとされています。
「てんかん」の持病がある方は十分注意しましょう。
また、重い腎障害のある方は、けいれんや意識障害などの中枢神経症状を起こしやすく、重い肝障害のある方も肝臓の病状が悪化する恐れがあります。
口から栄養が摂取できない方や、全身状態の悪い方の場合「ビタミンK欠乏症状」を起こすこともあります。
また「アナフィラキシー」という「発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応」を起こす場合があり、最悪の場合命にかかわることもあります。
確実に予知できる方法がないため「これまでにアレルギーを起こした経験があるか」などを事前に報告し、点滴をはじめたら状態をよく観察して、異常を感じたらすぐに看護師などに伝えることが大切になります。
メロペンと腎機能
腎障害のある患者に対しては、使用禁止とはされていませんが、次のようなことを目安に、量や投与間隔を調節するなどの配慮をして、患者の状態を観察しながら慎重に投与するようにと定められています。
基本となるのは、
「Ccr=クレアチニンクリアランス(腎機能を測定する検査で、男性…90~120mL/min、女性…80~110mL/minくらいが正常値)」の値です。
Ccrが50mL/min以下の腎障害患者の量・投与間隔の目安として以下のように定めています。
・Ccr26~50mL/min:1回あたりの量を減量せず12時間ごとに投与すること
・Ccr10~25mL/min:1回あたりの量を1/2に減量し12時間ごとに投与すること
・Ccr<10mL/min:1回あたりの量を1/2に減量し24時間ごとに投与すること
血液透析又は血液濾過により除去されるため、血液透析日には、透析終了後に投与することとされています。
まとめ
普通は病院で点滴を受けることが一般的ですので、基本的な対処は病院にまかせることができますが、自分の持病やアレルギーの経験などについて正確な情報を伝えることは、ご自身の責任となります。
余計なリスクを背負わないためにも、正確な情報を医療従事者に伝えられるよう、日頃からきちんと記録しておきましょう。
腎機能に関しては、もともと腎臓の病気があるという方以外はさほど神経質になる必要はないと思われます。
しかし100%安全と言い切れるお薬はありませんので、知識として知っておくことは大切ですね。
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