グレースビット(シタフロキサシン)の副作用や効果について!
「グレースビット」は種類としては「タリビット」などと同じ分類のお薬なのですが、2008年に日本で新発売された、比較的新しいタイプのお薬です。
今回は、そんなグレースビット(シタフロキサシン)の副作用や効果について詳しく説明しましょう。
グレースビットとは
グレースビットは「ニューキノロン系経口抗菌製剤」で、細菌などのDNA複製を阻害して殺菌作用を示すお薬です。
主成分は「シタフロキサシン水和物」です。
「ニューキノロン系」の長所として
・いろいろな細菌に有効で病巣への移行が良い
・難治性の感染症にも良い効果を示し、副作用も比較的少ない
などの特徴を持ち合わせています。
特にグレースビットは、他の「ニューキノロン系」に耐性のできた大腸菌や肺炎球菌などにも効果を示すため、治りにくい再発するタイプの疾患や耐性菌による感染症などにも効果が期待できるお薬です。
その反面、副作用の下痢や軟便の発生する頻度が高いとの報告もあるため、従来の抗菌薬で効果が不十分な場合に用いるなど、第二選択のお薬として使用すべきという意見もあります。
効果・効能
・咽頭、喉頭炎・扁桃炎
・肺炎・急性気管支炎・慢性呼吸器病変の二次感染
・尿道炎・膀胱炎・腎盂腎炎
・子宮頸管炎
・中耳炎・副鼻腔炎
・歯周組織・歯冠周囲炎・顎炎
などに用いられます。
①クラミジア、淋菌について
少し前には「淋菌とクラミジアの療法に有効」として「クラビット」「シプロキサン」「ミノマイシン」などが使用されていましたが、、最近では、これらはどちらにも効果が期待できないと言われています。
そのため、クラビットを改良して少ない量でも高い効果が期待できるお薬として「グレースビット」ができました。
しかし、昔のように乱用したり、過剰投与したり、長期間使用したりすることによって、再び効かなくなる可能性があると警鐘をならす意見もあります。
②膀胱炎について
膀胱炎の原因のほとんどは大腸菌ですので、治療のためには抗生物質が処方されることがほとんどです。
ファロム、オゼックス、フロモックス、クラビット、グレースビットなどの抗生物質を使用しますが、特に「ニューキノロン系剤」は、多くの菌に効果を示す傾向があり、よく選択されます。
しかし、処方された抗菌剤の服用を続けても、症状が改善されない場合は、耐性菌が原因である場合が多いため、尿培養や薬剤感受性検査の結果を踏まえて薬剤の変更を行います。
③風邪
インフルエンザを含め一般的な「風邪」はウイルス性であり、細菌を殺すための抗生物質は無効なのですが、細菌による二次感染時や合併症に対して処方されることもあります。
製品例は?
・グレースビット細粒10%100㎎
・グレースビット錠50㎎
が発売されています。
用法・用量
大人は1回1錠(50mg)を1日2回、または1回2錠(100mg)を1日1回服用します。
効果不十分な場合は1回2錠(100mg)を1日2回に増量することが可能です。
細粒を使用する場合は、錠剤1錠(50㎎)=細粒0.5g(50㎎)が使用量となります。
これらは症状などにより適宜変更されます。
副作用
比較的多いとされているのは「下痢」の副作用です。
他のお薬に比べて、多いという報告もあります。
ひどい症状が続く場合には中止して早めに医師に相談しましょう。
「急性腎不全」「肝機能障害」「低血糖」の他、「けいれん」「光線過敏症」「アキレス腱障害」などにも注意が必要です。
まれな症状だとは言われていますが、高齢の方や腎機能が悪い方は慎重に使用すべきですね。
①ショック、アナフィラキシー
顔面蒼白、冷汗、気持ちが悪い、じんましん、めまい、血圧低下、呼吸困難、顔やのどの腫れ、ゼーゼー息苦しい状態など
②皮膚粘膜眼症候群
発熱、食欲不振、発疹、発赤、水ぶくれ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、目の充血、倦怠感などが主な症状です。
服用後、数日以内に起こることもあれば、1カ月以上たって起こることもあります。
③肝機能障害
食欲不振、全身倦怠感、皮膚や結膜が黄色になるなど
④急性腎不全
全身倦怠感、尿量が減少する、むくみ、吐き気、頭痛など
⑤偽膜性大腸炎
腹痛、頻回の下痢、発熱など
⑥低血糖
発汗、動悸、脱力感、ふるえ、強い空腹感など
⑦けいれん
めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれんなどが主な症状です。
「てんかん」などのけいれん性の病気がある人は注意が必要です。
⑧アキレス腱炎、腱断裂など
「アキレス腱周辺の痛み」「浮腫」などが主な症状で、ステロイドを内服している方や60歳以上の方は発症しやすいという報告があります。
⑨光線過敏症
日光に当たった皮膚に発赤を生じたり、ひどい時には水ぶくれができたりしますので、皮膚の弱い人や長期間内服している人は、直射日光を避けた方が良いかもしれません。
アルコールは飲んでもいいの?
同じ抗生物質の中には、アルコールと相互作用があるものもありますが グレースビットは薬理学的な相互作用はありません。
しかし、その他の鎮痛剤などとも併用していれば、薬理学的な相互作用に注意しなければいけなくなりますし、そもそも、お薬を飲まなければならないような体調の悪い状態での飲酒自体好ましくありません。
やはり「薬を飲んだらアルコールは摂取しない」のがベストでしょう。
まとめ
グレースビットは、治りにくいタイプの疾患や耐性菌による感染症にも効果が期待できるお薬です。
しかし、副作用として下痢や軟便の発生する頻度が高いとの報告もあります。
医師はこのような副作用や耐性などの総合的な判断をした上で、お薬を処方していますので、やはり基本的には医師の指示に従うべきでしょう。
自己判断でお薬を中止したり、増量や減量をするなどの行為は控えるべきですし、お酒を飲むなどの行為も避けるべきですね。
病気の治療はまさに患者さんと医師との二人三脚です。
足並みをそろえて一日でも早く、「完治」というゴールにたどり着けるよう、患者さん自身も協力する気持ちで治療に取り組むべきだと思います。
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