クラリシッド錠(クラリスロマイシン)200mgの副作用や効果は?
幅広く使用されるクラリシッド、 どのようなお薬なのかご存知ですか?
クラリシッドは抗生物質の中でも比較的アレルギーが出にくいとされ、幅広く使われる、マクロライド系のお薬です。
小児にも処方される事の多いクラリシッドについて、気になるのはその副作用や効果ではないかと思います。
今回は、クラリシッドについて詳しくご説明いたしましょう。
目次
クラリシッド錠200mgとは
クラリシッド錠200mgは、マイランEPD合同会社から発売されている、直径8.6mm、厚さ5.4mmの白い錠剤です。
主成分はクラリスロマイシンという物質で、最初に発明されたマクロライド系の抗生物質、エリスロマイシンの改良型です。
一般感染症、非結核性抗酸菌症に用いられるお薬です。
一般感染症というのは、呼吸器の感染症や皮膚科、耳鼻科など体の広範囲にわたる様々な感染症です。
非結核性抗酸菌症は、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む、結核菌以外の抗酸菌による感染症で、主に肺の病気となって発症します。
結核や気管支拡張症になったことのある人や、欧米ではHIVの合併症として起こることが多く問題となっている病気です。
非結核性抗酸菌症が結核と異なるのは、人から人へは感染せず進行が緩やかな事が特徴ですが、結核の患者が減少しているのとは逆に非結核性抗酸菌症は増えており、治療法もまだ確立されていないため重症者も増加しています。
そんな中、クラリシッド錠などのクラリスロマイシンを他のお薬と併用する方法が現在有力な治療法となっています。
用法・用量
一般感染症の場合、成人なら一回200mgを一日二回。
非結核性抗酸菌症には一回400mgを一日二回服用するのが一般的な用法です。
個人の体質や年齢に応じて適宜、その量は増減されるでしょう。
また、妊娠中や妊娠する可能性がある方、授乳中の方が使用する場合は事前に必ずその旨を伝え、医師や薬剤師の指示に従うようにしましょう。
クラリシッドはアレルギーが出にくい抗生物質!?
クラリシッドは病原菌の守備範囲が広く、腸などにいる嫌気性菌以外には基本的によく効くというところから、ペニシリン系のお薬にアレルギーを持つ患者さんに、ペニシリン系のお薬の代替えとして使用するなどと重宝されています。
ペニシリン系の抗生物質が細菌の細胞壁の合成を阻害することで繁殖を防ぐ、ほぼ殺菌的な作用を持つのに対し、マクロライド系抗生物質であるクラリシッドは、細菌がタンパク質を合成するのを阻害する、というペニシリン系に比べて緩やかな作用を持ちます。
その分やはり、殺菌力はペニシリン系に劣りますが、同時にアレルギーや副作用も起きにくいという利点があります。
小児用・ドライシロップでもクラリシッドは苦い!?
小児の様々な感染症にも処方されるクラリシッドですが、他の小児用のお薬と比べて苦味が出やすいので、飲ませ方に工夫が必要かも知れません。
その際の注意点などご説明しましょう。
こども用のお薬には、甘そうな臭いや味がついているシロップ状のものが多いですが、クラリシッドのドライシロップは、
「苦味の強い元々の原末に甘味でコーティングしたクラリシッドの粉を水に溶かして飲む」
という方法となっています。
甘味でコーティングはしてあるものの、合わせる食材によってはコーティングがとれてしまいます。
クラリシッドのドライシロップと相性の良く、飲みやすくなるものには、
・練乳
・バニラやチョコレートなどのアイスクリーム
・ミルクココア
・プリン
などがあります。
しかし、、相性の良いものでも口のなかで味わってしまって噛み砕いたりしてしまうと、やはり苦くなってしまうので注意が必要です。
クラリシッドのドライシロップのコーティングは酸に弱いため、酸味のあるものは全般的に避けた方が良いでしょう。
苦味の出やすいものには、
・ヨーグルト
・オレンジなど柑橘系をはじめとした果汁ジュース全般
・スポーツ飲料
・乳酸菌系の飲料
などがあります。
苦味を気にせず飲める場合は沢山の水で飲むのが一番です。
上に挙げた相性の良いものと合わせて服用する場合にも、後から充分な水を飲むことが大切です。
小児の用法としては、一日に4g(主成分は400mg)を上限として、体重1kgあたりドライシロップ0.1mg~0.15mgを2~3回に分けて服用します。
膀胱炎に効かない!?
クラリシッドの適応(効くかどうか)は、クラリシッド200mgで尿道炎には効果がありますが、膀胱炎にはないとされています。
また、尿道炎でも、クラリシッド50mgや、主成分が10%だけのドライシロップには適応はありません。
膀胱炎の主な原因である大腸菌によく効くのはクラリシッドなどのマクロライド系よりもペニシリン系のお薬であると言われています。
ペニシリン系のお薬にアレルギーがなければ、膀胱炎にクラリシッドが処方されることはあまりないかも知れません。
しかし、尿道炎は膀胱までの間で起きる炎症で膀胱炎と無関係ではありませんし、実際、膀胱炎と診断されてクラリシッドが処方され、きちんと治ることもあります。
それでも膀胱炎にクラリシッドをはじめとした抗生物質が効かない場合があるのは何故なのでしょうか。
理由は二つ考えられます。
・間質膀胱炎である
・クラリシッドの耐性菌が原因で膀胱炎が起きている
間質膀胱炎というのは、症状自体は細菌が原因で起きる急性膀胱炎とよく似ているのですが、細菌が原因ではありません。
ストレスや食生活などが原因で、膀胱の粘膜に異常をきたし、少し尿がたまっただけで不快感や痛みを覚えるといった別の病気であるため、抗生物質は効かないのです。
間質膀胱炎は長期化したり繰り返したりして、治りにくいとされています。
抗生物質自体が効いていないことが明らかな場合には、治療法を変更する事が必要となってきます。
また、クラリシッドは使いやすい抗生物質である反面、多用されるがちであり、その耐性菌の出現が問題となっています。
マクロライド系の抗生物質は、その中の一種類のお薬に耐性菌が出来ると他のマクロライド系のお薬にも効かなくなってしまうという特徴があります。
マクロライドに限らず、多剤耐性菌という、様々な系統の抗生物質に効かない耐性菌の出現も確認されており、その菌が原因の感染症には抗生物質が効かなくなってしまうことから、抗生物質の乱用が問題視されています。
副作用
ペニシリン系のお薬よりも副作用が出にくく使いやすいのがクラリシッドであるとされていますが、やはり、人の体にいる菌にも作用するためそのバランスを崩す事があるのが事実です。
比較的多いのが下痢や発疹、かゆみなどです。
クラリスロマイシン製剤の副作用として極々まれにですが、出血性大腸菌、偽膜症、血液障害、耳鳴りや味覚障害などが、ショック症状の初期症状として出ることがあるとされています。
そのため、長期服用する場合などは検査をしてから使用することもあります。
注意すべき飲み合わせ
クラリシッドのドライシロップの飲み合わせについては、苦味が出てしまい飲みにくくなるという事を既にお伝えしましたが、クラリシッドには併用禁忌や併用注意といった合わせの服用に注意が必要なお薬がたくさんあります。
併用薬の副作用を強めるため併用禁忌
・ピモジド
・スボレキサント
・クリアミン、ジヒデルゴッド
・アスナプレビル、バニプレビル
・タダラフィル
中毒症を引き起こす可能性があるため併用を避けるべき
・コルフィチン
他にも、禁忌ではないものの、併用するとそのお薬の血中濃度を高めるものや、併用するお薬の作用を弱めてしまうものなど、数多く存在します。
併用禁忌のお薬については、クラリシッドが処方される際、それらのお薬を必要とする病気を患っていないか、使用していないかの確認があるのが通常です。
まとめ
クラリシッドは通常は錠剤、小児用にドライシロップの形状のものがあります。
ペニシリン系の抗生物質にアレルギーがある場合や、非結核性抗酸菌症、小児の肺炎などによく使用されます。
その作用の穏やかさやアレルギーの出にくさが重宝されていますが、その分耐性菌が問題となっています。
クラリシッドを処方された場合は、指定された用法を守り、独断で飲むのをやめてしまったりしないようにしましょう。
また、わずかでも身体に変調を感じた際は、早めに医師に相談するようにしましょう。
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