クロロマイセチン(クロラムフェニコール)の副作用や効果について!
クロロマイセチンの錠剤はあまりお薬っぽくないチョコレートのような色をしたお薬で、軟膏や耳鼻科用などの種類もある「抗生物質」です。
このお薬に特有の副作用もありますので、服用する際には注意が必要ですね。
今回は、クロロマイセチン(クロラムフェニコール)の副作用や効果について詳しく説明しましょう。
目次
クロロマイセチン(クロラムフェニコール)とは?
クロロマイセチンは、「クロラムフェニコール系」の抗生物質になります。
この抗生物質は、細菌のたんぱく質の合成や機能を阻害することで、サルモネラ菌などの「グラム陰性桿菌」、発疹チフス・つつが虫などの「リケッチア」などの増殖を抑える作用があります。
しかし、血液の副作用(骨髄機能低下による貧血の一つである再生不良性貧血など)が出やすいため、第一にこの抗生剤を選択することは少なく、先にあげた特殊な感染症や、他の抗生物質が効かないケースなどに使用するのが一般的です。
効果・効能
薬が効く細菌の種類が多く、いろいろな臓器に到達しやすいという特徴がありますが、先述したように副作用があるため、他の抗生物質が効かなく、この薬でないと期待できない場合に使用されます。
・腸チフス・パラチフス・サルモネラ腸炎・腹膜炎
・野兎病・ガス壊疽・発疹熱・発疹チフス・つつが虫病
・百日咳・猩紅熱
・胆管炎・胆のう炎
・リンパ管、リンパ節炎・皮膚感染症・慢性膿皮症
・熱傷、外傷、手術創などの二次感染
・肺炎・咽頭、喉頭炎・扁桃炎・急性気管支炎・肺膿瘍・膿胸・慢性呼吸器病変の二次感染
・尿道炎・膀胱炎・腎盂腎炎・淋菌感染症
・子宮内感・子宮付属器炎・乳腺炎
・涙のう炎・角膜炎
・中耳炎・副鼻腔炎
・歯周組織炎・歯冠周囲炎
製品例
・クロロマイセチン錠50(50㎎)
・クロロマイセチン錠250(250㎎)
が発売されています。
用法・用量
大人は1日量1.5~2gを3~4回に分けて内服します。
子供は1日体重1Kgにあたり30~50mgを3~4回に分けて内服します。
なお年齢・症状により増減されることがあります。
副作用
クロロマイセチンには、このお薬特有の副作用もありますので知っておきましょう。
【再生不良性貧血】
特に注意したいのは、骨髄機能低下による貧血の一つである「再生不良性貧血」です。
まれな副作用ではありますが、念のため注意が必要です。
(再生不良性貧血とは)
「再生不良性貧血」とは、他の貧血と異なり、すべての血球が減少する病気で、赤血球だけでなく、白血球や血小板などまでもが減少してしまいます。
そのため、他の貧血のように、欠乏しているものを補充することで治る貧血ではないため、難病にも指定されています。
(再生不良性貧血の症状とは)
赤血球が減少することにより「動悸」「息切れ」「立ちくらみ」「頭痛」などの貧血症状があらわれ、顔面が蒼白になったりします。
白血球が減少すると、細菌に対して防御力が低下しますので、それが原因で感染症などにかかりやすくなりします。
血小板が減少すると、止血作用が働かなくなりますので、出血が起きやすくなったり、出血が止まらなくなったりして、鼻や歯肉、性器や消化器官からも出血したり、皮膚に点状出血や紫斑が現れたりします。
これらの症状は進行がゆっくりな為、気づいた時には病気がかなり進行しているという事が多いと言われています。
(気をつけるべきこととは)
もともと血液の病気がある人にはこのお薬は用いませんので、自分の病気を正しく医師に申告することが重要になります。
また、お薬を長期に使用し続ける場合には、定期的に血液の検査を行うことが一般的ですので、必ず受けましょう。
【新生児に対するGray syndrome】
新生児にこのお薬を投与すると、肝機能が未熟であることから血中濃度が高まって、急性循環末梢不全を起こすとされています。
「腹部膨張」「嘔吐」「下痢」「皮膚が白っぽくなる」などの症状が現れます。
基本的には「新生児や低出生体重児には使用しないこと」とされています。
【視神経炎、末梢神経炎】
(視神経炎とは)
「視神経炎」とは眼球の後方にある視神経に起こる炎症であり、
・「比較的急激な視力低下」「見ようとする部分が見えない」
などの症状が起こります。
また眼を動かすと、眼の奥が痛むという症状が特徴的です。
(末梢神経炎とは)
神経系は大きく「中枢神経」と「末梢神経」に分けられ、脊髄以降として、胴体、腕に行き渡る神経の枝を末梢神経と呼びますが、この末梢神経に炎症が起こったものを「末梢神経炎」と言います。
症状としては、
・「腕や足を動かす筋肉の力が抜ける」「しびれやピリピリと電気が流れるような感覚が起こる」「感覚が感じられない」
などが主なもので、他にも
・「起立性低血圧」「発汗障害」「排尿・排便障害」「勃起不全」
などが報告されています。
(気をつけること)
他の副作用に対しても言えることですが、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人などは、副作用がでやすいので、服用量、服用間隔などに配慮が必要です。
これ以外にも「軟便」「下痢」「吐き気」「発疹」「じん麻疹」「肝障害」などが起こる可能性があります。
長期服用の場合には、菌交代症による「口内炎」「カンジダ症」が起こる場合もあります。
ビタミンK欠乏症(出血傾向)などにも注意が必要です。
まとめ
クロロマイセチンは、特殊な副作用が懸念されるお薬であるとも言えますので、変わったことがあれば速やかに医師に報告して指示を仰ぐべきです。
もちろん指示された内服量をきちんと守ることも大切ですし、自己判断で他の人にお薬をあげたりするのは大変危険だと考えるべきでしょう。
必要な血液検査なども面倒くさがらずにきちんと受けることが大切ですね。
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