エリスロシン(エリスロマイシン)副作用や効果について!
「エリスロシン」は実績のある歴史の長い抗生物質ですが、その分、耐性菌が増えているという欠点もあります。
具体的にはどのようなお薬なのでしょうか。
今回は、エリスロシン(エリスロマイシン)副作用や効果について詳しくみてみましょう。
エリスロシンとは
エリスロシン(成分:エリスロマイシン)は、「マクロライド系」を代表する抗生物質で、その分子の一部であるラクトン環の種類により「14員環マクロライド系」に分類されます。
作用面からは「蛋白合成阻害薬」に分類され、蛋白質の合成を阻害することにより一般的には静菌的(細菌の増殖を抑える)に作用します。
ただし、高濃度では殺菌的(細菌を死滅させる)作用を示します。
組織の障害を炎症にかかわるT細胞や好中球の動きを抑えて防いだり、過剰な粘液分泌を抑制したりと抗菌作用とは違う作用も見つかっています。
本来緑膿菌には無効なのですが、緑膿菌などの細菌が作る防御膜である「バイオフィルム」を破壊する作用があるので、他の抗菌薬との併用で、抗菌力がさらに増強する見込があるという特徴もあります。
上記したような「抗菌作用」以外の作用により、少量の服用を長期間続ける「マクロライド長期少量投与療法」が効果をあげています。
「びまん性汎細気管支炎(DPB)」「気管支拡張症」「慢性副鼻腔炎」「滲出性中耳炎」などに対する治療が試みられています。
1番の特徴は、一般的な抗生物質のβラクタム系(ペニシリン系・セフェム系・カルバぺネム系など)で効果のなかった非定型菌であるマイコプラズマやクラミジアに有効であることです。
特に、子供のマイコプラズマ肺炎のお薬には、この系統が処方されます。
エリスロシンの欠点とは?
肺炎球菌への作用は「βラクタム系」より劣るとされており、効き目の悪い耐性菌も増えています。
エリスロシンは、胃酸の分泌に不安定で吸収性がよくなく、胃腸障害や肝障害の副作用が出やすいと言う報告もあります。
実績のある歴史の長い抗生物質ですが、最近は胃酸の影響を受けにくい「ニューマクロライド系(クラリスロマイシンなど)」に処方が移っています。
相互作用を起こしやすい性質があるので飲み合わせには十分な注意が必要です。
・「酒石酸エルゴタミン配合製剤」「カルバマゼピン製剤」「ジゴキシン製剤」「ピモジド製剤」「カルシウム拮抗剤」「タダラフィル製剤」「テオフィリン製剤」「ワルファリンカリウム製剤」「シンバスタチン製剤」
などと併用すると、これらの薬の効果を強めたり、副作用が現れやすくなったりすることがあります。
効果・効能
・「皮膚感染症」「リンパ管・リンパ節炎」
・「腎盂腎炎」「尿道炎」「淋菌感染症」「軟性下疳」「梅毒」
・「乳腺炎」「子宮内感染」
・「骨髄炎」
・「気管支炎」「肺炎」「肺膿瘍」「膿胸」
・「中耳炎」「副鼻腔炎」
・「扁桃炎」「喉頭炎」「咽頭炎」
・「歯冠周囲炎」
・「猩紅熱」「ジフテリア」「百日咳」「破傷風」
製品例
・エリスロシン錠(100㎎・200㎎)
用法・用量
大人は、エリスロマイシンとして1日800~1,200mgを4~6回に分割して内服します。
子供は1日体重1kgあたり25~50mgを4~6回に分割して内服しますが、年齢、症状に応じて、適宜増減したうえで使用します。
ただし、子供の使用量は大人の使用量を上限とします。
副作用
エリスロシンで副作用はめったにはありませんが、以下のような症状が起こることがあります。
念のため初期症状などに注意しましょう。
①大腸炎
「激しい腹痛」「下痢」「発熱」「食欲不振」「吐き気」「血液便」「下血」など
②重い不整脈
「動悸」「頻脈(120/分以上)」「徐脈(50/分以下)」「胸部不快感」「胸痛」「だるい」「めまい」「立ちくらみ」「気が遠くなる」「失神」
③アナフィラキシー・ショック
「じんま疹」「全身発赤」「顔や喉の腫れ」「呼吸困難」「冷汗」「顔が白くなる」「手足のしびれ」「脈が弱い」「血圧低下」「目の前が暗くなる」「意識が薄れる」
④重い皮膚・粘膜障害
「赤い発疹」「発赤」「水ぶくれ」「うみ」「皮がむける」「皮膚の熱感や痛み」「かゆみ」「唇や口内のただれ」「のどの痛み」「目の充血」「発熱」「倦怠感」
⑤急性腎不全
「むくみ」「尿の濁り」「血尿」「尿量減少」「倦怠感」「吐き気」「頭痛」「のどが渇く」「けいれん」「血圧上昇」
⑥肝臓の重い症状
「倦怠感」「食欲不振」「吐き気」「発熱」「発疹」「かゆみ」「黄疸」「尿が茶褐色になる」
その他にも、「胃痛」「腹痛」「吐き気」「軟便」「下痢」「発疹」「じん麻疹」などの症状だけが現れる場合もあります。
症状がひどい時には早めに医師の指示を仰ぐことが大切になります。
まとめ
エリスロシン(成分:エリスロマイシン)は、「マクロライド系」の抗生物質です。
エリスロシンは歴史のあるお薬にはなりますが、欠点が指摘され他のお薬に移行しているという一面もあれば、新しい作用が発見されて試みられているという一面もあるようです。
内服量が多くなる場合には、副作用に注意することも重要になりますね。
事前に自分の病気やアレルギーに対する正確な申告を行い、医師に指示された使用量をきちんと守って、異常がないか観察を怠らないことを心がけましょう。
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