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壊死性筋膜炎(人食いバクテリア、フルニエ壊疽)の原因や症状について !

   

壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)という病気をご存じでしょうか?

メディアなどで『人食いバクテリア』と呼ばれている病気で、こちらのほうなら聞いたことがある方も多いと思います。

『人食いバクテリア』なんて、とても恐ろしい名前がついていますが、一体どんな症状なのでしょうか?

 

今回は、壊死性筋膜炎(人食いバクテリア、フルニエ壊疽)の原因や症状についてご紹介させていただきます。

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壊死性筋膜炎とは

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壊死性筋膜炎とは、軟部組織感染症の一つです。

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層から構成されており、壊死性筋膜炎は、皮下組織または浅層筋膜に広範囲に細菌感染が広がって、組織が壊死していく疾患です。

 

病名としては、劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症・ガス壊疽などとなります。

 

また、陰部に患った場合にはフルニエ壊疽と呼ばれることが多いです。

 

壊死性筋膜炎の原因

壊死性筋膜炎は、傷口から細菌が入る事や、生魚を食べたなどの経口感染、などの感染症が原因となります。

原因となる細菌は、

A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)

・ビブリオ

・黄色ブドウ球菌

・大腸

など、さまざまなものがあり、多くの場合、複数の細菌が組み合わさって発症します。

 

感染経路

・経皮的経路:外傷、床ずれ、外科手術などから細菌が侵入してしまい発症する。糖尿病などの疾患を持っていると罹りやすい。

 

・血行的経路:のど(咽頭)に溶連菌が感染して発症したり、腸の腫瘍がある人では、細菌が腸内から外へ出て皮膚へ直接広がったり、血流を介して、腹壁や大腿部などの皮膚に発症する

 

・経口感染:主に生の魚介類(刺身や生ガキ)を食したことでビブリオ菌に感染し発症する

 

発症例

1.A 群β溶連菌に感染。いわゆる「ヒト食いバクテリア」と呼ばれています。

発症24時間以内に、患部の腫れや赤みなど様々な症状が合併して起こります。

 

2.生の魚介類に多く生息している『ビブリオ属の通性嫌気性グラム陰性桿菌』という菌が、魚介類を食べることにより(経口感染)腸に菌が侵入して敗血症を起こし、壊死性筋膜炎を発症。患者の約90%が肝硬変などの肝疾患が見られます。

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壊死性筋膜炎の症状

1、罹患部は、強い疼痛があって、最初は青白く見えます。

2、その後すぐに赤くなり、熱を伴って腫脹して、急速に紫色に変色します。

3、茶色い液体のつまった大きな水疱ができたり、罹患部内部でガスが発生しているため、パチパチという捻髪音(ねんぱつおん)を生じることもあります。

4、皮膚組織が死んでいくため、その部分は感覚がなくなり、痛みなど何も感じなくなります。

 

全身の症状としては、発熱嘔吐、下痢、頻脈、血圧低下をきたし、錯乱などの精神的な症状がみられ、菌血症または敗血症になることがあります。

 

壊死性筋膜炎の治療

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壊死してしまった皮膚を手術で切除・洗浄し、併せて抗菌薬を静脈内投与する治療が施されます。

抗菌薬の第一選択薬はA型溶連菌の場合はペニシリンです。

ビブリオ菌の場合は第三世代セフエム系が第一選択となります。

 

壊死が深刻になると、たくさんの皮膚や皮下組織を切除する必要があり、四肢を切断をせざるをえない場合もあります。

したがって、一刻も早く治療にあたることが重要です。

 

壊死性筋膜炎の死亡率

全体としての死亡率は30%~50%ですが、高齢者や、他の基礎疾患などを持っている人などは、さらに思わしくない結果となり、死亡する確率の高い病気と言えます。

 

壊死性筋膜炎の診断基準

①広範な浅筋膜と周囲組織の壊疽

②精神症状をともなう、中等度または高度の全身性中毒症状

③筋層が侵されない

④創および血液中にclostridiaが証明されない

⑤大血管の閉塞がない

⑥病理組織検査で、高度の白血球浸潤、筋膜と周囲組織の壊死、微小血管の血栓。

となっています。(日本救急医学会HPより)

 

もう少し簡単にいうと、まずは感染した皮膚の状態や、皮下に気泡が発生しているかどうかを見ます。

ガスが発生しているかどうかは、レントゲンでもわかります。

 

なお、蜂窩織炎(ほうかしきえん)との区別が必要です。

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なぜ壊死が起こるのか?

通常は皮膚が細菌に感染したからといって、組織が死んでしまうことはあまりありません。

しかし、壊死性筋膜炎では、微小な血管に血栓ができることにより、組織に十分な血流が届かなくなってしまうため、組織が死んでしまいます。

 

また、血液は体中に白血球や抗体なども送っているため、それが届かなくなると、菌に対抗できなくなり、感染症が急速に広まって、コントロールできなくなってしまいます。

このような状態になると、治療を行っても、四肢を切断することになったり、死亡してしまうことがあります。

 

まとめ

壊死性筋膜炎は、肝硬変などの肝疾患や、糖尿病、免疫不全の人などがかかりやすく、重症化しやすいようです。

発症してしまうと、壊死が広がり敗血症に罹るなど予後が非常に悪い病気です。

万が一感染してしまった場合は、早期診断・早期治療が重要です。

 

壊死性筋膜炎が疑われる時は、大きな総合病院へ急いで行きましょう。

夜間の場合、救急車を呼ぶなどして救急病院へかかっても構いません。

 

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