小児喘息とは!症状や2つの原因と3つの治療法もご紹介!
2016/04/03
子どもが小児喘息と診断されたらどうしたらよいのでしょう。
運動した後や、夜になるとゼーゼーと苦しそうな呼吸をしていて、とても見ていられませんよね。
今回は、小児喘息の症状や原因と、かかってしまった時の治療法について確認していきたいと思います。
目次
小児喘息とは
まず喘息とは、
『気道の炎症と種々の程度の気流制限により特徴づけられ、発作性の咳、喘鳴(ぜんめい)および呼吸困難を示す病気』
とされています。
もう少し噛み砕いた言い方にすると、空気の通り道である気管支が過敏になって狭くなり、呼吸困難の発作を繰り返す病気、となり、この喘息を幼児期に発症してしまう状態を小児喘息といいます。
小児喘息の場合、大人と異なり、言葉で症状をうまく伝えることができないため、泣いたり、ぐずったりすることで症状を訴えることがあります。
また、赤ちゃんは病気でなくても気道の分泌物が多くゼーゼーしやすく、別の病気であることもあり、診断がつきにくいようです。
下記のような症状があれば、小児喘息である可能性が高くなりますので、注意深く見てあげましょう。
・夜になるとゼーゼーがひどくなる
・自分や家族にアレルギー体質の人がいる
・アトピー性皮膚炎がある
小児喘息の特徴
近年、小児喘息は低年齢化と患者数増加の傾向にあります。
増加の原因としては、大気汚染や食品添加物など、生活環境の変化が大きな影響を及ぼしていると考えられています。
早い場合、生後2~3ヶ月から喘息と診断されることもあり、3歳までが全体の70%、5歳までが90%を占めるとされています。
その後、成長するにしたがって12~13歳ころまでには約50%が治ります。
しかし、16歳以降に持ち越されると治りにくくなり、成人になっても発作を繰り返す可能性が高くなるといわれています。
小児喘息の原因
<アレルギー>
小児喘息の約90%はハウスダストやダニ、花粉、ペットの毛などのアレルギー性炎症反応の結果、喘息が起こる「アトピー型」です。
これが長期間続くため、気道が慢性的に炎症を起こしている状態になっています。
小児喘息の患者さんの90%以上がアトピー体質を持っています。
なお、アレルギーの原因=アレルゲンの最大の原因はダニです。
<遺伝>
両親からの遺伝を強く受ける傾向にあり、両親とも喘息やアレルギーを持っていると、発症の確率は3~5倍高くなるといわれており、片親だけがアレルギーの場合は少し低くなります。
また、家族に喫煙者がいる場合、喘息の発作を起こしやすいといわれています。
小児喘息の症状
小児喘息の発作では、呼吸をするとき「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった苦しそうな音が聞こえることが特徴です。
この音は、喘息発作で狭くなった気管支を空気が通るときに出る音で、喘鳴(ぜんめい)といい、主に呼吸困難のときにみられる症状です。
喘息発作はアレルゲンの関与、自律神経やホルモンの関係で、昼間より夜間や明け方に多く起こりやすいといわれています。
小児喘息の発作は程度によって
1.小発作・・・軽い喘鳴がある
2.中発作・・・見た目から息苦しいのが分かる
3.大発作・・・呼吸困難を起こし、動けない
と3つに分かれています。
大発作を起こすと、呼吸困難が激しくて日常生活が送れない、苦しくて眠れず食事もとれなくなるといった状態になります。
また大発作時は、呼吸困難によってチアノーゼで唇の変色(紫色)も見られたり、意識が薄くなったりすると、最悪の場合命にかかわることもあります。
上記の時は、救急車を呼んでも構いませんので、早急に対処しましょう。
また、小児喘息では、運動後や風邪を引いたときにもこの症状があらわれます。
ただ、明らかな音が聞こえなくても、息苦しさを訴えている場合、喘息発作である可能性があります。
症状を見逃すと、喘息を悪化させてしまうこともありますので、まずは医療機関にかかるようにしたほうがよいでしょう。
小児喘息の診断
喘息の検査には、呼吸機能試験や気道過敏性試験などがありますが、乳児や幼児の場合、検査を受けることが難しいことも多いようです。
簡単な呼吸機能測定器具である、ピークフローメーターが使用できるくらいの年齢(5~6歳程度)になっていれば、1日のピークフロー値の変動幅をみることで喘息かどうかの診断がつきます。
ピークフローメーターとは、思い切り息を吸い込んで、一気に息を吐き出したときの吐く息のスピードを測る機械です。
ピークフローメーターは、喘息発作の兆候をつかむのにも効果的です。
この値は、空気の通り道が狭いと低値を示します。1日に2~3回程度測定し、記録しましょう。
低値になってきたときには、発作のサインと考えられます。
成人では、1日の変動率が±20%以内が管理目標に設定されますが、こどもの場合、健康児でも比較的変動幅が大きいことが多く、各個人で変動率の推移を観察し、経過を評価します。
小児喘息の治療法
<アレルゲンの除去>
まずは環境を整えます。
アレルゲンとなるダニやホコリなど、気管支の刺激になるものをできる限り取り除きます。
じゅうたんよりもフローリング、カーテンよりもブラインドのほうがホコリが付きにくいです。
また、寝具やぬいぐるみなどにも気をつけ、こまめに洗濯し、日光干しをしましょう。
寝具は1週間に1回、20秒/㎡掃除機を掛けることが推奨されています。
ペットの飼育については、様々な意見があり議論されるところではありますが、イヌやネコ、ハムスターなどの有毛動物は、その毛がアレルゲンとなりえますので、飼うのは控えたほうがよさそうです。
<投薬治療>
基本的には、一時的に発作を止める気管支拡張薬を続け、症状が治まらなければ、気管支の炎症を抑える薬を使って長期間発作が出ない状態を維持するようにします。
小児喘息では、以下のような薬が使用されます。
・抗アレルギー剤(内服薬)
・吸入ステロイド薬(吸入薬)
・気管支拡張薬(内服薬・吸入薬)
<自律神経を整える>
気管支は自律神経に影響を受けるので、自律神経のバランスや機能を整えて、喘息の症状緩和に努めます。
バランスのとれた食事と、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。
また、適度な運動で身体を強くするのも有効です。
特に水泳が推奨されており、気管支が水分を保ち、運動をしても発作を起こしにくく、運動強度も中くらいなので身体への負担が少ないためです。
また、心肺機能が高まり、肺活量も増えます。
まとめ
小児喘息の治療は、投薬に加え、アレルゲンを取り除いて、環境を整備することが大切です。
整った環境で、適切な治療を受ければ、決して治らない病気ではありません。
最近の断捨離ブームに合わせて、物を減らせば、掃除もしやすく、ホコリも溜まりにくくなり、一石二鳥ですね。
小児喘息は、小児科、アレルギー科を受診しましょう。
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