高齢者による脱水症状の5つの原因と対策予防!必要な水分量は?
高齢者の脱水は、命の危険になる場合があるので、注意が必要です。
脱水になると、尿量が減り、元気がなくなったり、食欲がなくなったり、微熱がでたりして、ますます体の水分量が減ります。
重症になると、意識障害、痙攣、最悪な場合は、死に至る場合もあります。
そこで今回は、高齢者による脱水症状の原因と対策、予防法についてご紹介させていただきます。
目次
感覚機能の低下により脱水になりやすい
高齢者は、感覚機能が年齢とともに低下しています。
自分が、喉が渇いているという感じが、分かりにくくなり、水分が欲しいという欲求が湧きにくくなっています。
そのため、喉が渇いたから水分を取ると、いつの間にか自覚がないまま、脱水になっていることが多いようです。
そこで、一緒に住んでいる人や、介護する人が、水分が取れているか気を付けて見てあげて、意識的に水分を取るよう声をかけてあげることが大事になります。
また、高齢者本人も、喉が渇いたから水分を取るのではなく、乾かなくても必要だから飲むといった意識が大事になります。
身体の水分量が若い人に比べて減っている
高齢者は、若い人に比べて、約10%くらい体の水分量が減っていると言われています。
若い人は、体の水分量が約60%に対し、高齢者は約50%しかありません。
そのため、若い人より、高齢者のほうが、持っている水分量が少ないため、普通の状態でも脱水になりやすい体質になっています。
したがって、若い人より、多く水分を取る必要があります。
ところが、そのような知識や自覚がないため、若いころと同じように水分を取っていると、知らず知らずのうちに、脱水になってしまいます。
高齢者になったら、若いころより水分の摂取を心がけるようにする必要がありますね。
腎機能が低下している
高齢者は、若いころに比べて腎機能も低下しています。
そのため、体に貯まった老廃物を排泄しにくくなっています。
高齢者が老廃物を尿で排泄するためには、若いころよりたくさんの尿量が必要になるため、たくさん水分をとる必要があります。
ところが、高齢者は、筋力の低下や体が動きにくくなっているため、トイレの回数が多くなることを嫌がり、水分を取りたがらない傾向にあります。
トイレの回数をめんどうくさがらず、水分を取ることが大事になります。
高齢による物忘れ、認知症などの病気で水分を取りにくい
高齢者は、物忘れ、認知症などになりやすく、意識的に水分を取ることが難しくなっています。
認知機能の低下により、水分を取ること自体を忘れてしまい、意識しなくなってしまうため、尿量も減少し、脱水症になってしまいます。
物忘れが多くなったり、認知症になった高齢者には、家族、介護人などが意識的に水分を取らせる工夫が必要になります。
また、家族や介助者も、尿を漏らしてしまうことを嫌がったり、トイレの失敗を恐れて水分を取らなくならないように、尿とりパットを使用したり、パンツの工夫をしたりして、水分量、尿量が少なくならないような工夫が必要となります。
薬の影響により、脱水症になってしまう
高齢者は、持病が原因で、薬を飲んでいる人が多い傾向にあります。
また、代謝も悪くなっているため、身体が薬の影響を受けやすい状態になっています。
特に、高血圧、心疾患などの薬には、利尿作用があるものが多く、尿量が多くなったり、尿の回数が増えたりして、脱水になりやすい状態になっています。
薬局から渡される薬剤情報をよく読んで、自分が飲んでいる薬が脱水の原因になる可能性がないか、確かめる必要もあります。
初期の発見が大切!脱水症のサイン
病気に関しては何でもそうですが、初期に見つけることがとても大切です。
脱水症が疑われるサインをまとめました。
・脇の下が乾いている
・唇や皮膚が乾燥している
・口の中が乾いている
・手の甲の皮膚をつまんでみて、シワが出来たままなかなか戻らない
・爪を押して、色が白からピンクに戻るのに3秒以上かかる
・意識が薄くなり、ボーっとする
・発熱
・意識の混濁
・けいれん
・脈拍数が1分間に120以上ある
脱水症かな?と思ったら上記にあてはまるものがないか考えてみましょう。
特に、痙攣や意識の混濁は、脱水症が進んでいる状態での症状になります。
気になることがあれば、早めに病院へ行き医師の診察を受けましょう。
脱水症にならないための予防!一日に必要な水分量は?
脱水症状は、普段から意識する事でかなり予防できるものです。
まず、一番大切となる基本的な事は、きちんと食事を摂り水分補給も忘れない事です。
きちんと食事を摂った場合、1日でだいたい1リットル分ほどの水分が摂ることができます。
では、食事以外に水分補給は1日にどれくらい必要なのか?
脱水症を予防するためには、1日1.5リットル以上の水分を摂りましょう。
また、一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯(200ml)の水を7、8回に分けて飲むのがいいです。
朝起きて、朝昼晩御飯の後、入浴の前後、10時と15時に、就寝前に、といった感じで飲むのを習慣付けるのが好ましいですね。
これらは、普段の生活でのことなので、暑い夏場や風邪を引いた時などはもう少し多めに摂る必要もあります。
飲むのは、水、お茶(ノンカフェイン)、スポーツドリンク、経口補水液、が好ましいでしょう。
普段から飲むものなので、好きな飲み物でも構いませんが、カフェインは利尿作用があるので、出来ればノンカフェインの飲み物がいいでしょう。
まとめ
高齢者に多い脱水は、季節に関係なく起こります。
感覚機能の低下、体内水分量の低下、腎機能の低下などが高齢者の脱水症の主な原因となります。
また、病気の影響や身体機能の低下、認知機能の低下もあり、脱水に気づきにくい状態にあります。
他にも、高齢者は、物忘れが多く、自分がどれくらい水分をとっているか意識しないでいる場合があり、脱水症になりやすい状態にあるのも覚えておきましょう。
高齢者自身が気を付けるのはもちろんのこと、家族、介護者など、身近な人が気を付けてあげることがとても大事だと思います。
1日の水分量が十分に足りているか、脱水の症状が起こっていないか、高齢者本人と、周りの人が一緒に見てあげることで、脱水になることを防げるでしょう。
脱水の症状が見られたときは、こまめに水分を取るようにし、嘔吐や意識障害などの重度の症状が見られたときは、すぐに医療機関へ受診し、早めに治療を受けましょう。
関連記事としてはこちらをご参考下さい。