くも膜下出血の症状と後遺症!頭痛やめまいには気をつけて!
2016/02/07
くも膜下出血は、働き盛りの人に起こることが多く、死亡率も高い病気です。
くも膜の下(内側)にある脳脊髄液(のうせきずいえき)
という液体部分に出血が起こる病気で、
およそ30%の人は後遺症なく社会復帰しますが、
約50%の人は死亡、残り20%の人には後遺症が出ると言われています。
今回は、くも膜下出血の症状と後遺症について考えてみたいと思います。
目次
[くも膜下出血の重症度グレード分類]
くも膜下出血の程度は1から5までのグレードに分けられています。
グレード3までだと、早期に治療を行えば助かる見込みが高くなります。
逆にグレード5になると、助かる見込みはほぼ100%ないと診断されます。
くも膜下出血は激しい頭痛や吐き気、意識障害といった特徴的な症状が現れます。
その前兆のめまいや物が二重に見えるといった症状があれば、できるだけ早く病院で検査を受けることが重要です。
症状が軽くても、放っておけば病状が進み、後遺症が残る可能性が高くなってしまいます。
・グレード1:無症状、または軽い頭痛がある程度で、意識がはっきり ある状態。
・グレード1a:急性の髄膜刺激症状、もしくは脳症状はないが、ごく 軽い失語や麻痺がある。
・グレード2:中度以上の頭痛、項部硬直はあるが脳神経麻痺以外の神 経学的失調はない
・グレード3:傾眠傾向(うとうとしている状態)や錯乱状態、または 軽い失語・麻痺症状がある
・グレード4:昏迷状態で、中度以上の片麻痺、自律神経障害がみられ ることもある。
・グレード5:深昏睡状態で除脳硬直(体がつっぱっているような状 態)がある。
[くも膜下出血の発症年齢と予後の関係]
高齢になってから、くも膜下出血を発症した場合、
元気に退院したとしても、5年後、自立して生活している人は全体の4割弱。
あとの4割は亡くなり、
残りの2割の人は介助が必要な状態であるといわれています。
[くも膜下出血を起こしたあとの記憶障害]
治療として脳の手術を行った際、脳へ十分な血液が供給されず、
記憶障害が現れることがあります。
この記憶障害は一時的なものがほとんどで、術後2~3週間で改善されることが多いですが、人によっては回復に数年かかる場合もあります。
<後遺症1>手足の麻痺
代表的な後遺症として「片麻痺」「半身麻痺」といった運動障害があります。
これは、運動にかかわる神経が妨げられるために起こります。
たとえば、もし脳の右側にダメージを受けたのであれば体の左側に麻痺が起きるといったように、
脳がダメージを受けた部分と反対側の半身に症状が出ます。
手に麻痺が起きた場合、字を書いたり、食事をするのが困難になります。
足に麻痺が起きた場合は、歩行に支障が出て、杖が必要になったり、
移動に車いすを使用するようになることもあるでしょう。
ただし、軽度の麻痺であれば、リハビリなどである程度回復させることができます。
<後遺症2>発声および嚥下(えんげ)障害
四肢以外にも、喉の動きに必要な筋肉に麻痺が起こることもあります。
喉や舌の筋肉の動きが悪くなると、声を出したり、食べ物を飲み込むこと(嚥下)が困難になります。
嚥下障害を起こした場合、うまく飲み込めなかった食べ物が気管支や肺などに入り、
呼吸困難になったり、肺炎を起こしてしまう危険性があります。
<後遺症3>言語障害
人の左側の脳には、言語中枢があり、ここにくも膜下出血が起こることで、言語障害が起こります。
言語の理解や話すこと、書くことなどが困難となり失語症や構音障害になることがあります。
〔失語症〕
・運動性失語(ブローカー失語)
他人が話していることは理解できるけれど、自分が考えていることをうまく話せない。
・感覚性失語(ウエルニッケ失語)
他人の話すことが理解できないため、自分が話す言葉も意味がなくなる。
・全失語
言葉を理解することも話すこともできない。
〔構音障害〕
・弛緩性構音障害
舌が回らず、うまく話すことができない。
・失調性構音障害
話しているときに、つかえたり、繰り返しの言葉をうまく言うことができない。
<後遺症4>人格障害
脳の前頭葉や側頭葉にダメージを受けると、
注意力や集中力が低下し、何事にもやる気がなくなることがあります。
また、自分の感情をコントロールすることができなくなり、
突然泣き出したり、怒り出したり、感情の起伏が激しくなります。
この症状が現れると、円滑なコミュニケーションがとりづらくなり、
社会生活に支障をきたすことにもつながる恐れがあります。
<後遺症5>その他
視野障害-視野が狭くなります。その範囲によっては、日常生活が困難になる場合があります。
排泄障害-排尿をコントロールできなくなり、尿失禁などの症状があらわれます。
感覚障害-手足の麻痺同様、どちらか半身の感覚が鈍くなったり、痛みやしびれが出ることがあります。
[まとめ]
いかがでしたでしょうか。
くも膜下出血で亡くなられる方は非常に多いです。
いつどこで発症するかわからない病気であるのは確かです。
病気の兆候を見逃さす、早期発見と適切な治療がなによりも大切です。
また、くも膜下出血にならないように、
高血圧の改善や禁煙に努めるなど、生活を見直すことも重要ですね。
死亡率が高く、大変怖い病気ですが、医学の進歩により生存率は上昇しています。
自分の身体の声を聞き逃さないようにしていきたいですね。
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