ミノマイシン(ミノサイクリン)の副作用やニキビへの効果は?
ミノマイシンは古いタイプの抗生物質というイメージがありますが、ただ古いだけのお薬だとも言えないようです。
また他の抗生物質にはない特徴的な副作用もいくつか挙げられていますので、服用される方は知っておくべきでしょう。
今回は、そんなミノマイシン(ミノサイクリン)の副作用や効果について詳しく説明したいと思います。
ミノマイシンとは
「テトラサイクリン系抗生物質」に分類される「ミノサイクリン塩酸塩」を主成分とした抗生物質です。
細菌が増殖するのに必要な蛋白質の合成を阻害することによって、抗菌作用を発揮します。
通常の使用量では菌の増殖を抑えるだけですが、高濃度で用いると病原微生物を死滅させる作用があります。
かつてはよく使用された抗生物質ですが、耐性菌(抗生物質が効かない細菌)が増えてきたことや、副作用が多めであること、より有効で安全性の高い抗生物質が出現したことなどにより、最近ではあまり用いられなくなりました。
しかし、新しい抗生物質が効かない病原微生物も現れ始めたため、この病原微生物による感染症の治療薬として見直され使用されているケースもあります。
効果・効能
【適応症】
・「つつが虫病」「オウム病」など
・「扁桃炎」「咽頭炎」「喉頭炎」「気管支炎」「肺炎」などの呼吸器感染症
・「涙のう炎」「中耳炎」「副鼻腔炎」などの目・耳・鼻の感染症
・「腎盂腎炎」「膀胱炎」「尿道炎」などの泌尿器の感染症
その他にも「歯肉炎」「胆管炎」「胆管炎」「乳腺炎」「感染性腸炎」「皮膚感染症」などの治療に用いられます。
具体的には「性行為感染症のクラミジア症」「皮膚科でのニキビ菌の殺菌」「マイコプラズマ肺炎に対して他の抗生物質が効かない場合」などの適応があります。
正式な適応症ではありませんが「リウマチの治療」に応用されることもあります。
【適応菌種】
「テトラサイクリン系」すべての特徴として、ペニシリン系およびセフェム系抗生物質が効かない「マイコプラズマ」「クラミジア」「リケッチア」「マラリア原虫」にも有効であるということがあげられます。
その中でも「ミノマイシン」は、抗菌力が強く、耐性菌も比較的少ないお薬であると言えます。
抗菌力は従来の「テトラサイクリン系」などと比較して1~4倍だとされていますし、「テトラサイクリン系」が効きにくいとされている「耐性ブドウ球菌」や「レンサ球菌」「大腸菌」に対しても一定の効果が期待できます。
製品例は
【ミノマイシン錠50㎎・100㎎】
ジェネリック医薬品としては 「ミノサイクリン塩酸塩錠50mg」「ミノサイクリン塩酸塩錠100mg」などがあります。
【ミノマイシンカプセル50㎎・100㎎】
ジェネリック医薬品としては「塩酸ミノサイクリンカプセル100 100mg」があります。
用法・用量
大人は初回100~200mgを服用し、以後12時間ごとまたは24時間ごとに100mgを服用します。
しかし、年齢や病状などの状態により適宜増減されます。
副作用、めまいがするって本当?
服用中にめまいがおこることがあるので、車の運転や危険を伴う作業は避けるようにしましょう。
めったにはありませんが、ひどい人になると意識を失って倒れた人もいるようです。
自分がその「ひどい人」でないという保証はありませんので、特にはじめて飲むときには注意が必要です。
胎児に「一過性骨発育不全」「歯牙着色・エナメル質形成不全」を起こすことがあり、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、必要性がない限り処方しないべきだとされています。
過敏症状(発疹、かゆみなど)が起こることがあります。
特に服用中に、長時間、肌を直射日光にさらすと過敏症状がおこりやすくなりますので注意しましょう。
症状が起こったらすぐに医師に相談しましょう。
副作用ではありませんが、牛乳や乳製品といっしょに服用すると、この薬の効果が低下するので、気をつけましょう。
「カルシウム剤」や「鉄剤」「胃腸薬」などと一緒に飲むと、この薬の効き目が落ちてしまいますし「経口避妊薬」の効果を弱める可能性も指摘されています。
逆に「抗凝血薬」「強心薬」「リウマチの薬」「血糖降下薬」などの作用や副作用を強めることがあり「ビタミンA」と併用することにより、頭蓋内圧上昇を起こすことがあるとも言われています。
事前に飲んでいるお薬を必ず医師に報告しましょう。
「ショック症状」「膵炎」「大腸炎」「けいれん」「皮膚粘膜眼症候群」「黄疸」などが報告されています。
服用後、
・「口が渇く 痛み、ただれなどが起こる」「めまい」「耳鳴り」「発疹」「頻繁な便意」「喘鳴(呼吸のたびにのどをゼイゼイ・ヒューヒューさせる)」
といった症状がおこったときは、ショック症状の前兆のこともあるので、服用を中止し、すぐ医師に相談してください。
ときに「食欲不振」「吐き気・嘔吐」「腹痛」「「下痢」「口内炎」「頭重」「色素沈着(皮膚の一部が変色する)」などの症状が現れることがあります。
このような症状がおこった場合は、医師に相談してください。
とくに下痢がおこったときは、菌交代症による腸炎の可能性もあるので、使用を止め、医師に相談してください。
他にも、長期間使用していると「肝障害」「血液障害」「ビタミンB欠乏症」「ビタミンK欠乏症」がおこることがあります。
ミノマイシンはニキビにきくの?
効きめはありますが副作用などの弊害もあり、ミノマイシンを含む抗生物質に過剰に依存することは辞めるべきであると言えます。
現在、抗生物質に関して最も懸念されているのが「耐性菌」(抗生物質が効かない細菌)の問題であり、医師の間では乱用を避けるべきであるという意見も多いようです。
ただ一つ注意していただきたいのは、「病院で2週間分処方されたけど、4日で治ったから、あとの薬はとって置いて、ニキビがひどくなったら飲もう」などと考えないことです。
飲む期間が短ければ「耐性菌」ができにくいと考えがちですが、実はそうではなく、中途半端に退治された菌が逆に「耐性菌」になってしまう可能性もあるのです。
このことからも処方された分は、自己判断で中止せず、最後まできちんと飲むことが大切です。
ニキビ治療への服用は、医師の見解により治療法も違うため対応が難しいとは言えますが、結論を述べると、
・「不必要に使用すべきではないが、使用するのなら指示されたとおりきちんと飲むべき」
ということになりますね。
まとめ
ミノマイシンは、テトラサイクリン系抗生物質に分類される、ミノサイクリン塩酸塩を主成分とした抗生物質です。
耐性菌が増えてきたことや、副作用が多めであること、より有効で安全性の高い抗生物質が出現したことなどにより、最近ではあまり用いられなくなりました。
ニキビ治療にも使用されることがありますが、長期間使用していると「肝障害」「血液障害」「ビタミンB欠乏症」「ビタミンK欠乏症」がおこる可能性がありますので注意が必要です。
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