オラペネム(テビペネムピボキシル)の副作用や効果、上手な飲ませ方!
「オラペネム」は比較的新しいタイプのお薬になります。
重症例に効果がありますが、他のお薬で治る症例にこのお薬を乱用するのは「耐性菌(薬に対して抵抗力を持ってしまい、薬が効きにくくなった菌のこと)」を出現させる原因になるとされており、使うタイミングに注意するべきお薬であるとも言われています。
今回は、オラペネム(テビペネムピボキシル)の副作用や効果についてその特徴を詳しくみてみましょう。
オラペネムとは
オラペネム(成分:テビペネムピボキシル)は、小児専用の経口剤として開発された「カルバペネム系」の抗生物質です。
カルバペネム系の注射薬は販売済みでしたが、飲み薬では国内初であり、販売され始めたのは2009年からになります。
経口吸収性を向上したため、「カルバぺネム系」の注射薬と同じがそれ以上の強い抗菌力を発揮するとされています。
新しいタイプの抗生物質であり、一般的な抗生物質による治療で効果があまり期待できない症例に対して用いるべきお薬です。
効果・効能
【適応菌種】
抗菌スペクトルが非常に広いお薬です。
・「グラム陽性菌」「グラム陰性菌」「嫌気性菌」
に対し強い殺菌作用を示します。
また、
・「ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)」「マクロライド耐性肺炎球菌」「アンピシリン耐性インフルエンザ菌」
などは一般的に抗菌薬が効きにくいのですが、その各種耐性菌に対しても強い抗菌力を発揮します。
【適応症】
・「肺炎」「中耳炎」「副鼻腔炎」
などに用いられます。
製品例
・オラペネム小児用細粒10%100㎎
用法・用量
小児は「テビペネム ピボキシル(オラペネムの成分です)」として1回4mg/kgを1日2回食後に経口服用します。
なお、必要に応じて医師の指示により、1回6mg/kgまで増量することが可能です。
副作用
オラペネムの副作用の症状として、
・「発疹」「じんましん」「軟便」「下痢」「腹痛」「吐き気」「嘔吐」
などが起こる場合があります。
特に、下痢や軟便は、3歳未満で3人に1人、3歳以上で10人に1人くらいの割合で起こると言われています。
これは抗菌作用によって、腸内バランスが乱れ起こる症状ですので、軟便くらいだと心配いりませんが、ひどい下痢や血便がみられるときは受診するようにしましょう。
喘息等の病気があるなど、アレルギー体質のお子さんの場合、必ず医師にそのことを伝えておきましょう。
また、てんかんや腎臓病がある場合にも注意が必要です。
「てんかん」がある場合、てんかんのお薬である「バルプロ酸(デパケン等)」と併用すると、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかん発作が再発するおそれがあります。
「腎臓病」がある場合は、副作用が起こりやすいこともわかっています。
まれにですが、血症カルニチンが低下することで低血藤をまねくことがありますので、低カルニチン血症の先天性代謝異常がある場合などにも注意が必要です。
●その他にも、めったにはありませんが、以下のような重い副作用が報告されています。
①ショックやアナフィラキシー
「じんましん」「全身発赤」「口内不快感」「ゼーゼー息苦しい」「発汗」「顔が白くなる」「便意」「手足のしびれ」「脈が弱い」「血圧低下」「目の前が暗くなり意識が薄れる」など。
②けいれん
「筋肉のぴくつき」「ふるえ」「白目をむく」「硬直」「全身けいれん」「意識低下や消失」
③急性腎不全
「むくみ」「尿の濁り」「血尿」「尿が少ない」「尿が出ない」「倦怠感」「吐き気」「頭痛」「のどが渇く」「けいれん」「血圧上昇」
④重い血液成分の異常
「発熱」「喉の痛み」「口内炎」「倦怠感」「皮下出血」「出血傾向(鼻血・歯肉出血など)」
⑤大腸炎
「強い腹痛」「下痢」「発熱」「血液便」「下血」
⑥重い皮膚・粘膜障害
「発疹」「発赤」「水ぶくれ」「膿が出る」「皮がむける」「皮膚の熱感・痛み・かゆみ」「唇や口内のただれ」「のどの痛み」「目の充血」「発熱」「倦怠感」
⑦間質性肺炎
「から咳」「息苦しさや息切れ」「発熱」
⑧肝臓の重い症状
「倦怠感」「食欲不振」「吐き気」「発熱」「発疹」「かゆみ」「黄疸」「尿が茶褐色になる」
⑨低カルニチン血症に伴う低血糖
「元気がない」「吐く」「冷や汗」「異常な言動」「けいれん」「意識障害」
子供に上手に飲ませるには?
オラペネムは子供用のお薬なので飲みやすいようにイチゴ味のコーティングがされています。
平気な場合は、水でそのまま飲むことが一番です。
しかし、噛んだりすると若干の苦みを感じてしまうこともあります。
苦みを嫌がる場合は、牛乳やブリン、アイスクリームに混ぜて飲むといいでしょう。
反対に、オレンジジュースやスポーツ飲料など酸性の飲み物と一緒に飲むのはNGです。
酸性の飲み物と混ぜると、苦みが増すだけでなく薬の効果も弱くなるそうです。
まとめ
オラペネムは、子どもに対して使用するお薬ですので、特に保護者の方が気を付けてあげてほしいと思います。
また、オラペネムは効果の高いお薬ですが、耐性菌の発現を抑えるために、むやみに乱用してはいけないということも大切です。
やはり、医師の指示に従って使用することが重要であると言えますね。
空腹時に服用すると、吸収が上がりすぎるという報告もありますので、食事がとれない状況なら、プリンやアイスクリームなどと一緒に服用するとよいそうです。
保護者の方の理解と工夫が必要なお薬だとも言えますね。
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